「人生讃歌」ソウルフル・ワールド からくりおばけさんの映画レビュー(感想・評価)
人生讃歌
「インサイド・ヘッド」も「カールじいさんの空飛ぶ家」も自分にとって大切な映画なのに、この作品は見逃していました。世界の混乱の只中に公開されたそうなので、自分のように見逃してしまっている人は多いのではないでしょうか。近く公開されるマイエレメントの予告を見て、なんとなくインサイド・ヘッドっぽいなと思って、ピートドクターのwikiに辿り着きこの作品を知ってディズニープラスに加入したような経緯です。この一本を見られただけでも、加入したことに悔いなし!と思えました。
人が誕生する前段階の次元が描かれますが、ビジュアルと情報整理が凄まじく「そんなもんかもなあ」と飲み込めてしまうのが、さすがインサイド・ヘッドを作ったピクサー!と思いました。ジェリーという創造神のようなキャラの気まぐれっぷりがお気に入りです。
音楽も全編通して素晴らしいです。ジャズが物語の重要なパーツではありますが、テクノもあればヒップホップもアンビエントもあり、シンデレラ城を背景に流れる歴代最低の「星に願いを」から始まりエンドロールの終わりまでずっと心地いいです。
「カールじいさんの空飛ぶ家」も「インサイド・ヘッド」も同様ですが、この作品は、誰もが本当は知っているのについ忘れてしまうような大切なことをロジカルに思い出させてくれるものだと思います。「そうだよなあ」と思いながらボロボロ泣いてしまいます。そして見終わった後に、最後のセリフを噛み締めながら、前を向かせる力があります。
ピクサーの制作環境はかなりの合議制らしいので、監督に作風を一元化できるものではないのかもしれませんが、ディレクター:ピート・ドクターと冠された作品に心打たれたことある人は絶対に見るべきです。