「ピクサーの到達点」ソウルフル・ワールド 青空ぷらすさんの映画レビュー(感想・評価)
ピクサーの到達点
Disney+で鑑賞。
「インサイド・ヘッド」「カールおじさんの空飛ぶ家」を手がけたピート・ドクターが満を持して送り出すも、コロナ禍によって劇場公開はされず。ほぼDisney+のみでの独占配信になっているのは不運としか言いようがない。
というか、これだけの名作を自社配信のみで囲うことで、作品の出会える人を減らしているディズニーの罪は重い。
そもそも、アナ雪以降のディズニー作品は“社会問題”にコミットする作品が多のに対し、ピクサー作品は一貫して、クリエイター個人の経験や思いをテーマに作品を作り続けてきた。
それが、結果的に今の社会問題にコミットすることもあったけど、ディズニーのように大上段に振りかぶって――ということはないのでディズニー作品より届く幅は狭いかもだけど、その分、届く人にはより深い共感を得ることが出来たんだと思う。
この「ソウルフル・ワールド」もまさにそういう作品で、多分、スタートは監督ピート・ドクターのミドルエイジクライシスだよね。
ミドルエイジクライシスってのは、別名「中年の危機(鬱)」で、人生の終わりが見えてくると「俺(私)の人生これでよかったのかー」ってなっちゃうヤツ。
そんなアニメにするには難しいテーマを噛み砕き、同年代には「それでいいんだ」と寄り添い、子供たちには「人生はこんなにも美しい」という説く。それをたった1時間40分のアニメにまとめてた人生賛歌として世に送り出すとか、ピクサーはマジでヤバすぎるしどうかしてる。
普通、子供向きのアニメーションでこんな企画通らないもんね。
でも、それをずっとやってきたのがピクサーだし、本作はそんなピクサーという会社の、ある種の到達点なのだと思った。
だから、親会社のディズニーはこの作品を囲い込まず、一人でも多くの人が観られる環境を作る義務がある。と思うけどね。