「インサイドヘッドに続く大傑作!」ソウルフル・ワールド ヘルスポーンさんの映画レビュー(感想・評価)
インサイドヘッドに続く大傑作!
インサイドヘッドではピクサーが生きていくには喜び"JOY"だけではダメなんだ!と言い切った作品で、全身が震えるほど感動しましたが、
本作"ソウルフルワールド"では人の魂がテーマですから、個人的にかなりの期待値で"ハードルを上げて"観賞しました。
結論から言うと私が上げたハードルなんて全く視界にも入らない大傑作です!今の世の中、生きていくには何をやれ、目的はなんだ、目標は?何かやりたいことはないのか?と言った言葉で溢れ返り、ちょっと本屋に行くだけで俗に言う成功者の自己啓発本やら金の本やらが嫌でも目に付く。
アメリカ(特にキリスト教圏)は個人主義ですから、1人で何でも出来るハイスペックな個人が持て囃される世界において、ピクサーが本作で導き出した答えのとんでもない知性と寛容さに、もはやアニメーションスタジオの役割を超えてきていると感じました笑
本作のキャラクターである22番が迷える魂となってしまった時、リフレインされる言葉は大人が子供に押し付けてしまった価値観ではないだろうか。知らぬ間に子供達に重荷を背負わせてしまっているのではないだろうか。ここで、ピクサーは主人公ジョーを通して、そんなことは生きること(人生)の目的ではない!と言い切り、例えば葉っぱが落ちてきたらほら、あなたは拾うことが出来る。あなたは生きている。それこそがあなたの輝き(スパーク)なんだ!と、人生の重荷をそっと取り除いてくれる。なんという優しい作品なんだ!
ジョーの最後のセリフはSF作家テッド・チャンの「あなたの人生の物語」の実写映画化「メッセージ」のラストシーンと同じセリフで、「全ての瞬間を大切にして生きる(一瞬一瞬を大切に生きる)」という終わり方。
素晴らしい作品でした。
音楽も特に「グレートビヨンド」と呼ばれる魂の行き着く先のシーンは「2001年宇宙の旅」や「インターステラー」を彷彿とさせる音楽で、これは映画館で観たかったなぁ〜・・・・。と悔やまれる。
特にED後のおまけ映像なんて映画館でEDを最後まで観てくれた人の為に作ってくれたようなもの!!
(自宅で1人で観ながらフッと笑ってしまい虚しくなった笑)
もし本作が改めて劇場公開されるようなことがあれば絶対に観に行きたいと思います。