「映画館で公開して欲しかった傑作」ソウルフル・ワールド shoheiさんの映画レビュー(感想・評価)
映画館で公開して欲しかった傑作
PIXARの素晴らしい作品群の中でも間違いなく上位に位置する傑作。映画館でみた予告編では、晩秋のNYの街や、ジャズの演奏シーンのハイパーリアルな質感や情感が、素晴らしいとしか言いようがなく、とにかく早く映画館で観たい作品の一つだった。
残念ながら、映画の公開はなく、Dixney+チャンネルでのリリースのみとなったが、それでも素晴らしかった。今度は映画館のスクリーンで観たい。
CGの質感の深さはもとより、描かれる死生観がいい。音楽が題材として選ばれているという点では、「リメンバー・ミー」とも似ているわけだけれど、こちらの死(生前)の世界も深い死生観が貫かれている。それも小難しいものではなく、大人がちょっと立ち止まって考えてみるような深さだ。勿論、子供にだって琴線に触れるような何かを感じることだろう。
何せこの作品のテーマは生きることの喜びだから、非常に分かりやすい。ニューヨークに暮らし、ジャズミュージシャンを夢見ながら音楽教師をしているジョー・ガードナーは、ある事故から、自分自身の傍らにいて、自分自身の姿、それも生きる喜びの感覚を堪能する姿をみつめることになる。その喜びをみながら主人公は何かを感じ取るのだ。その当たりの描き方がお説教くさくなく、実に素晴らしい。
この作品は本当に大人が観るべきアニメだし、子供も何かを感じ取って欲しいなと思う。PIXARのスタッフは、何度も議論を重ねて作品のアイデアを創造してそうだけれど、その一つのテーマを洗練されたアニメに仕上げていくチームプレイが、世界中の人々を深く感動させているのだ。
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