劇場公開日 2024年4月12日

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「生きる意味を探して」ソウルフル・ワールド よしさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5生きる意味を探して

2020年12月25日
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《きらめき》生きる意味、目的って?驚くべき深さと美しい映像で子供を楽しませ、大人を引きずり込み感動させる。特別な何者かになりたかったすべての"誰か"へ --- まさしく僕らの物語で、僕らが人間である理由が少し分かったと感じられるような。普遍的な葛藤、まるで自分の事のように感情移入させてしまう手腕、ディズニーマジックはこの期に及んでなお新たなステージに到達するかと素直に目を見開かされ、心を鷲掴みにされてしまう。もはやエンターテイメントの皮をかぶった作家主義。ディズニーらしい全世代に通用する魔法が今なお強力に通用することを証明する。
《ジャズる》傑作『インサイド・ヘッド』のピート・ドクター監督がまた私的かつ壮大な内向き世界でやってくれた!ごくごく当たり前(だと感じている)のことが鮮やかに色づく瞬間 --- 今ある世界を愛おしく思う。何気ない生活の一部こそがかけがえのないものだったり、けどそう気づくまでには時間がかかるわけで、作中での主人公の変化・成長がすごく人間らしく自然でめちゃくちゃ感動。人生は往々にして思い通りになんて行かないものだけど、それでも一瞬一瞬を大切に生きるという境地に微塵も嘘偽りがないと思える。まさしくこれぞミーニング・オブ・ライフ。
ジャズって長年この瞬間を待った!脚本や構成力、手際の良さに唸るし素直にお手上げ。主人公の前に立ちはだかる壁・障害も、22のキャラクターも良かった。夢が叶いそうになった瞬間にマンホールに真っ逆さまで迷い込んだ主人公。そこはグレート・ビヨンドならぬグレート・ビフォーなユーセミナー。魂の数が一つ足りない。きらめきを探し見つける!ジェイミー・フォックス × ティナ・フェイというボイスキャストも魅力的。プロットまったく知らない状態で見たら開始早々"ソウル"の意味が、音楽的にもかかっていて、そこも上手いなと思った。感心し通し。

安定に説明がましいがために本来のシンプルさを損なった邦題はあまり好みではない。本作でも黒人の中年男性が主人公だったり内容自体も作る作品は良いのに、なんで会社としては、映画会社やコンテンツを買い占め多様性を失う方向に持っていってしまうのか。また、相変わらず日本のDisney-(マイナス)こと"Disney+"は、そうした本国のコンテンツ帝国にあぐらをかいて、企業努力をしないでいる。現時点で『ハミルトン』の日本語字幕無い件なんて数カ月(約半年?)放置されっぱなしだから。

きらめきは目的じゃない、生きる準備ができたとき枠は埋まる。

とぽとぽ