「カタルシス無き前時代的アジア描写が生み出したフォースの覚醒」ムーラン よしさんの映画レビュー(感想・評価)
カタルシス無き前時代的アジア描写が生み出したフォースの覚醒
"気" 魔女だぞ!もはやスタンダードに超能力者なムーラン。西欧・欧米諸国から見た、今世紀とは思えぬほど雑・無理解かつ偏った東洋アジア像といった感じで、特にオリジナルに無いはずの魔法要素強すぎる。出たよ、お決まりの万物に宿る。聞き飽きた、耳にタコ。スター・ウォーズのフォースか。この大胆な改変による魔女が恐れられずにありのまま受け入れられる場所は残念ながら、舞台となったアジアはもちろん、観客の中には無かった --- ここに"真"は無いのだから。あと、アニメ版の人気主要キャラクター達もかなり出ておらず、その代わり実写版オリジナルキャラ達に取って代わられている。と、一見似たもの同士でも両者には決定的な違いがある。我らがドニーさんことドニー・イェンもそれなら本作のファンサービス的アクションと出稼ぎ感より『ローグ・ワン』のチアルートの方が遥かに良い。
中国国民はディズニーに本作のことを恩に思わないだろうし、伝説とならない。良作『クジラの島の少女』以降、一貫して立ち上がる女性(=ある意味、その社会における異物としての"魔女"?)の味方であったニキ・カーロ監督は一見すると本作の監督に適しているが、実際見てみると彼女の特徴とも言えそうな映像美は大金をかけた本作にも見られるが、もう一つの点であるそのモデルとなった現地人・文化への寄り添うような理解は、残念ながら本作には見られなかったかもしれない。そのように長年愛されてきたオリジナルアニメとはまるで別物だけど、現代の技術力を持ってして描かれるライブアクションならではのポスト『マトリックス』『グリーン・デスティニー』かと言いたい戦闘シーンや流麗なビジュアル面でのリッチさは、『ムーラン』というコンテンツと切り離して見ると悪くないはず。確かにこれじゃ魔女と呼ばれる!
気「あれじゃ魔女と呼ばれるわ」手に入れたいだろ、魔女が恐れられない場所、ありのまま受け入れられる「いい事ね、家名が高まるわ」嘘は気を毒する、命を縮める「魔女だぞ!」ファ・ジュンは?「ムーランを信じる!」
忠
勇
真
孝 4つ目の徳