「「あなたを許していないのは、あなただけ」」きみの瞳(め)が問いかけている R41さんの映画レビュー(感想・評価)
「あなたを許していないのは、あなただけ」
「きみの瞳が問いかけている 僕はそれに答えなければ」
シスターの言葉「あなたを許していないのは、あなただけ」
自分自身の過去をどうしても許せないでいる人は大勢いるように思う。
ルイもその一人
昔は、悪事ばかりをしていた。
しかし、償いきれない罪を犯したことにようやく気付いた。
半グレどもの勝手な掟 「裏切者には徹底的に打ちのめすまで」
リンチにかけた男が焼身自殺を図った。
人が燃え落ちていくのを運転席で見たアカリは、事故を起こし両親が死亡、自らの目もほぼ見えなくなった。
彼女が手術しないのはお金がないからではなく、事故の罪を自分の所為だとしているから。
ルイは彼女に連れられて行った墓参りでその事実に気づく。
「何も、償えていなかった」
衝撃の因果に茫然自失となったルイ
さて、
この作品はリメイクのようだ。
オリジナルは見ていないが、プロットに違和感はなくよくできている。
孤児院からルイ宛に届けられたオルゴールの中の音楽は、偶然あの曲だったのだろうか?
それとも、ルイがリクエストしたのだろうか?
この時間差という技も素晴らしい。
ただ、
ショップに帰ってきたアカリがルイに気づいたとき、なぜ犬を連れて行かなかったのだろう? ここだけが唯一指摘される点だった。
犬と一緒に探したにもかかわらず、ルイが姿を隠してしまう別の方法が欲しかった。
さて、
事故でも何でも人が死ねば償うことなどできない。
ルイは半グレとの中で追い詰めた男の焼身自殺そのものに対する償いをしたいと思って生きてきた。
受け入れてもらえない苦しさ。
これが彼を辛気臭くさせ、アカリには48歳、または36歳のおじさんに感じさせたのだろう。
もしかしたらこのようなことの積み重ねが人を老けさせる最大の原因かもしれない。
半グレともキックボクシングとも縁を切った。
自分の好きなことをやめることが、ルイができる最大の償いだと考えたのだろう。
自分に罰を与えることが必要だと思ったのだろう。
そんななか出会ったアカリ。
ルイは次第にアカリに恋をする。
アカリのためになりたいと考える。
この部分のプロットもいい。
会社の上司に襲われそうになったアカリの前に突然現れたルイ。
上司を殴り脅すが、「どうして私の言うことを聞いてくれないの? 仕事を探すのどんなに大変かわかる?」
「アカリを助けるから」
「それって、余計に私をみじめにしているのわかる?」
ご都合主義的なプロットではないことがわかる部分だ。
さて、
ルイはアカリの手術代等を稼ぐ必要性に迫られるが、半グレがどんな奴らか知っている。
アカリがアパートを出されたのも半グレが関係しているかもしれない。
彼はアカリとのすべての痕跡を消し、ジムの先輩に送金を依頼した。
地下格闘技のシーンもあれくらいでいいと思う。
そして奴らの標的はルイ一人に絞られる。
車ではねられ、ナイフで刺される。
目が見えるようになったアカリは、ルイが消えた喪失感に見舞われるものの、店を出すことまでできるようになった。
アカリが車に乗っているのは、自分自身を許したからだろう。
当然ルイに対するネガティブな感情など微塵もない。
そして、休みのときのボランティア
実際日本ではなかなか難しだろうが、ここは物語。
ルイの真実をシスターが伝えるというプロットもなかなか。
視聴者は俯瞰する。
本当に俯瞰すれば、「あなたを許していないのは、あなただけ」というのがよくわかるものだ。
「僕には資格がない」
多くの人がする言い訳。
そしてルイは「答えを出さなければならない」
それがあの海辺にいたルイを見つけ出したアカリの「瞳が問いかけている」
なかなかよくまとまったストーリー
面白かったし素晴らしかった。
こんにちは♪共感ありがとうございます😊
こちらこそいつもありがとうございます😊
チャップリンの『街の灯』→韓国版『ただ君だけ』→邦画本作となっています。
どうしても韓国版の主演二人も良く好きな作品だったので本作にはちょっと馴染めませんということで。だいぶ前に韓国版を観たので細かいところの記憶は薄らいでいます。レビュアーの中には2作を続けて観て評価されている方も見られます。先に観た方に評価されているようです。韓国映画の恋愛モノは、オリジナルリメイクとあった場合、他者に比べて静かな落ち着いた作品になっていてしっとり、という感じです。好みですね。