「わたし/ぼくの瞳(め)が見つめている。ただ君だけを」きみの瞳(め)が問いかけている 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
わたし/ぼくの瞳(め)が見つめている。ただ君だけを
オリジナルは2011年の韓国映画『ただ君だけ』。
監督は三木孝浩。
吉高由里子と横浜流星のW主演。
韓流ラブストーリー&恋愛映画の名手&美女とイケメンという、これ以上ないくらいの組み合わせ。
話の方も然り。
将来有望視されながらも、過去に犯した罪でキックボクサーの道を絶たれた塁。
心を閉ざして生きるある日ひょんな事から出会ったのが、明香里。彼女は不慮の事故で視力と家族を失いながらも、明るく前向きに生きていた。
惹かれ合う二人。塁も再びキックボクサーの道に挑戦する。
だが、明香里の失明の事故と塁の過去の罪にはある接点が…。
幾ら元ネタが韓流ラブストーリーとは言え、ここまでドベタか!
美男美女が出会って…
ラブラブ満ち溢れた一時。
が、急転直下。
純愛と悲恋。
あり得ないシチュエーション、展開。
途中で何となく分かってきたが、二人のまさかの接点。
そしてそれを知った時…
明香里が塁との接点を知った辺りで終わったら余韻残る悲恋ストーリーだったが、その後も出し惜しみ無いくらいのラスト・エピソードでハッピーエンド。
運命の究極の愛。
もう、ここまでくるとファンタジー!
でも、最近久しくこういうTHEメロドラマ!を見ていなかった気がするので、何だかんだ見ちゃったね。
海辺のシーンや部屋のカーテンから差し込んでくる美しい光の演出。三木監督の映像美や繊細な演出はいつもながら健在。
主演二人は好演。
吉高由里子の盲目演技は見事。役作りとして実際に目の不自由な人に会って話を聞いたり、目隠しして日常生活を体験。ナチュラルに明香里という役の心情を表現。
吉高が“明”ならば、横浜流星は“暗”。罪を背負った青年の苦しみを寡黙に体現。また、中学時代に極真空手の世界大会で優勝した事もあるらしく、劇中のキックボクシング・シーンではキレのあるアクションを披露。
二人のやり取りはコミカルであったり(出会った頃、目が見えない分他は何でもわかると言いつつ、塁を“おじさん”呼ばわり…)、甘くもあったり、切なくもあったり、本当に主演二人が作品を魅力的に支えている。
他キャストでは、塁のコーチ役のやべきょうすけ。この人は気のいい兄貴分が合う~。
それから、“すく”も。
演者の好演や映像は素晴らしいが、先述の通り設定や話の流れは、よくもまあ恥ずかしげもなくやったもんだ。
せっかくキックボクサーとして再び軌道乗ったのに、愛する人の為にまた裏の世界に戻るなんて、オイオイ…。
クリスチャンとか裏世界の地下格闘技試合とか、邦画では全くとは言わないけど、ちと違和感。
何よりラスト・エピソード。ハッピーエンドであるけれど、あんなに蛇足に感じるくらい描くかね…??
ツッコミ所や難点は多々あるけれど、
見えなかった世界に光が差し込む。
罪は償える。
結び付けた愛。
タイトルは“きみ”や“問いかけている”となっているが、こう感じた。
わたし/ぼくの瞳(め)が見つめている。ただ君だけを。