「原作は面白いのは分かる。」劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 うにたん♪(コロナが当たり前の世界)さんの映画レビュー(感想・評価)
原作は面白いのは分かる。
だが、作品の1エピソードで映画を構成するのには反対する。理由は簡単、地上波アニメでそのままやっていい程度の内容ではないか?と思うからだ。
映画化で制作費も掛かってるから、映像的には綺麗。細やかに動く木々なども実写の様に見える。そこは「おっ…」とはなるがそれだけだ。
話題の作品らしく、作中には様々な想いがあるキャラクターが登場し、皆揃って極端だ。
でも真っ当に生きている。伊之助はちょっと違うが(笑)
主役の炭治郎の叫び、走り去る猗窩座に向かって叫ぶ「逃げるな!」に続くセリフは圧倒的有利な所から他人を踏みつけにする者への糾弾だ。
自分は夜の暗闇でフルパワーで戦える状況へ、それより劣る者を誘い込んで倒す…。
現実では法律さえ犯さなければ、情け容赦なく仕掛けてくる経済戦争と変わりない…。
一緒立ち止まった猗窩座がすぐに撤退するのは、彼が望むのは命を賭けた勝負にプライドを賭けてない故か?利害得失を持って行動する猗窩座にはまったく魅力を感じなかった。
炭治郎の台詞は真面目すぎるが、資本による歪んだ形の当たり前が横行する暗い世の中では、皆を救いたい努力家の炭治郎が輝いて見えた。
作品に対する感想とは別に閉塞したコロナ禍と言うタイミング
そこに産み出された大ヒット作、原作は普通にヒットするに十分な内容だし、少年ジャンプらしさもしっかり出している。残酷な描写も昨今のマンガ、アニメの状況を見れば、少々のグロ描写も受け入れられており、すでに観る側もその事に関して嫌悪感も薄くなっている。
原作の大ヒット~アニメ化、アニメ終了後の鬼滅ロスに飢えたファンに映画化と商売の仕組みとしては上々の仕掛け…。
麻薬に酔ったようなファンなら垂涎の作品だ。
ただ原作もアニメもスルーした人が映画作品として観たなら説明はないので、このキャラクターたちは何故?みたいな事になるだろう。
原作もアニメも知らずに話題だから「観た」と言うのでは髙評価はつける人は少ないだろうし、ギャグシーンにも笑えないのではないか?
自分は一応原作もアニメも見ている。
面白くない訳じゃないし、胸踊らない内容でもない…。
だが素直に観られない。商売としては利益の回収に全力なのは当たり前…だが、あざといと思ってしまっている。その分評価を下げたくなってしまう。
従来のジャンプ作品の劇場版だとちょっとしたスペシャル版で各キャラクターが必殺技を連呼し見得を切るものが圧倒的に多かったが、この作品は原作の連続した部分を抜き取り、敢えて映画化し、映画化後売り切った状態でDVD、Blu-ray Disc発売、さらに次期シリーズをアニメ放送するメディア展開に「上手いことやりすぎだろ?」と思う。
絶妙のタイミングで昨今の映画館を救った作品ではあるが、今後この作品の評価は上がる事はないだろう。売れた時以上の遣い処はないだろうから…。
上記を書いておいて、2022年9月現在… ufotableの地元徳島県では阿南市でワンコインで観られる日もあるし、未だに常時公開中のufotable常設ミニシアターがある。まだ客が入るのか興味あるので観に行ってみる。