「エンタメ作品として最高品質。ただラストには異論あり!!」劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 カトソラさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0エンタメ作品として最高品質。ただラストには異論あり!!

2020年12月8日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

興奮

大前提として、無限列車編の『直前』まで原作漫画もアニメも履修したけど、正直全くハマれなかったし、なんなら【嫌い】寄りです。そんな人間がIMAXで見てきました!

まず子供向けでもあるため、原作同様いい意味でも、悪い意味でも全てが
「ものすごくシンプル」です。「人間VS鬼」という勧善懲悪が分かれてたり、主人公が何の悪意も無い典型的なジャンプ漫画主人公。

シンプルさ故のよかった所は当然たくさん。
・漫画・アニメで「超いい奴」故に捻りがなく面白くないと思っていたが今回それがフル発揮された【主人公の魅力】。「自身の過去や後悔、トラウマと向き合う」という少年漫画モノは絶対にあるプロセスを、回想や走馬灯でやるのでは無く、触感まである超リアルな「夢」という形でほぼ直接炭治郎に向き合わせるあの一面雪のシーン(ちょっとインセプションっぽい)。「さぞ後ろを振り向いて戻りたいだろう」と深ーい共感で大号泣!「がんばれ!がんばれ炭治郎ーー!!」と叫びたくなる!ある意味今作1番の白眉かもしれない!!

・澤野弘之さんが担当しているのかと錯覚するくらい(実際は他の方です)迫力のある響き渡る音楽!!多分キャラクターごとにテーマ曲があるのかな。

・【日本アニメならではの圧倒的な作画】をIMAXの超巨大スクリーンで堪能。ピクサーやソニーピクチャーズのような大規模CGアニメではなく手書きとCGを組み合わせた、各キャラクターの抜刀シーン(特に煉獄さん)では泣き笑い!!

・無限列車編まではあまり大きなインパクトも、いいイメージもなかった煉獄杏寿郎というキャラクターをたった2時間で完全に書き上げ、そして最高の感動を見せてくれた!無限列車が止まり、「え?これでおしまい?煉獄さんは?」とか思ってたら、待ってましたと言わんばかりに今回の白眉のシーンが始まる!しかも列車とは違って【広い空間】というまた違った立地の活かし方も!!ちょっと間違えたら【壮大な出オチ】になっちゃうようなものを、抜刀シーンといい最後といい最高にカッコよくも悲しい漢に仕立てあげてくれてありがとう!!わざわざ喪服で鑑賞する大ファンの方もいるのも納得。
そもそも映画化する前提で原作書き上げたの?ってくらい映画向きなエピソードだったことも要因の1つかな?

やっぱり悪いところも。

・終始【説明口調】です。誰もいないところで自分の能力の解説をし始める鬼。誰がどう見ても分かるのに入る炭治郎の独り言。正直くどいわ!!

・やっぱり子供向けなんでギャグシーンはそれなりにあります。原作同様ぶっちゃけクソつまらんし、それをIMAXの音響でやるからうるさいったらありゃしないww

・無限列車が紫のグニョグニョになるCG、割と長丁場だったこともあり飽きるし、直感的に手書きアニメとCGの差に違和感を感じちゃう……

・これは1番言いたいんだけど【ラストのラスト!!】、炭治郎が「煉獄さぁん…」と泣いて終わるんだけど、それじゃダメでしょ!!過去と向き合い、敵に勝ち、それでも報われない、【でもまた立ち上がる】のが本来の少年漫画モノの主人公じゃないの?と思うんですよ!!グッと涙を堪えて「煉獄さんと同じように(煉獄さんの姿を透かす演出も!)立ち上がる」、ラストにすべきだったと思うの……

色々言っても万人受けしやすい内容ということもあり、作画と音楽の迫力という興奮もあり、原作者が女性ということもあって感情に訴えかけるシーンも多いので感動もあり、個人差はあれどギャグの笑いもありでエンターテインメントとしては最高の作品だし、もしかしたら日本映画史を変える瞬間を迎えるかもしれない。コロナがなかったら応援上映もあったかもしれない。そんな映画をぜひ劇場で、IMAXでウォッチしてください!!!!!

カトソラ