「俺の家族がそんなこと言うはずがない」劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 a0064さんの映画レビュー(感想・評価)
俺の家族がそんなこと言うはずがない
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炭治郎の家族愛には共感して涙が出た。家族に対する絶対的な信頼、甘えではなく、どんなことがあっても自分を肯定してくれる温かさへの確信が、妙にリアルに感じた。何があっても信頼しあえる絆があるからこそ、唯一生き残った妹のために、幸せな夢からも抜け出て現実に戻る意志を持ち続けられたのだろう。
強いものが弱いものを助けるべき、との思想は、作品全体を通して流れている。助けたり守ったりするためには、自分が強くならなければならない。炭治郎は、家族という至高の存在を守るために、鍛錬し、強くなることを選ばざるを得なかった。煉獄さんもまたそうではなかったか。彼が生まれながらに植え付けられた意識の中で、家族だけでなく、もっと多くの弱き人を守るという使命があり、そのためにはもっと強くならなくては、と日々鍛錬してきたのだろう。人は老いるから、死ぬからこそ儚く美しい、と言う彼の言葉は、彼の存在意義、使命をそのまま言葉にしたに過ぎない。弱いからこそ守る価値があるのである。そして自らも生身の人間であり、傷つき死ぬ、ということを受け入れて戦い、使命を果たしたことに満足しながら死んでゆく、彼の潔さには感動したし憧れる。自分はそれほど強くないから、まずは強くならねば、そして、家族を思うことができるいまの恵まれた環境に感謝しつつ、一瞬をも大切に、いまを生きねばと思わせられた作品であった。
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