「鬼との闘い」劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 akkie246さんの映画レビュー(感想・評価)
鬼との闘い
映画一回目。
鬼という不条理の、それも突然の強大な暴力によって愛すべき家族を一夜にして失ってしまった炭治郎という少年の選択(一介の炭焼きから訓練を経て超人少年剣士へ)をまず理解する必要はある。コミック版、もしくはAmazonプライムやFODなどのTVアニメ全エピソードを見てから観るのがベストな選択なのだろうが、見てなくともある程度は楽しめると思われる。私はアニメ第一話のみ見ただけで映画版を鑑賞しました。(映画版をいきなり見たけど何が面白いのかわからなくて私に聞いてきた人もいます)
夢を見ることの価値をちゃんと描いている一方で、夢に逃げ込んでいるだけでは自分さえも守れないことを示した秀作になっている。漫画の世界ではあるけれど、目覚めろ炭治郎、ほかのだれかひとりでも!と呼びかけたくなる展開なのだ。
よく言われる様に本編は、TVアニメの続きだ。列車に飛び乗ってほぼ列車の近辺だけで完結する。
この作品は、単純な鬼退治の話ではないと思う。
当たり前だが、桃太郎、新撰組などの日本的な古典はベースにあると思われる。嫌いな人には、暴力的表現が多いので暴力を増長するのではないかとの懸念もあるだろうが、きちんと生死のありがたみ、悲しみ、痛みを描いていると私は感じた。
とことん漫画的なキャラクターであるさまざまな種類の鬼がでてくる。主人公の炭治郎、半鬼の禰󠄀豆子、文盲であるが超人的身体能力をもつ伊之助、気弱でバカすぎる善逸などの特殊な能力と性格に思わず笑ってしまう。
多分、コロナ禍のこの時代に必要とされるのは、漫画的なエネルギーなのだろう。昔否定してしまった自分を肯定できる映画にようやく巡り合った気もする。(もちろん三密を避けるとかマスクを忘れないとか医療従事者につねに感謝するとかを守りながらなんとかやってゆくしかない)
漫画、アニメという表現の自由さによって、そしてコロナの時代に生まれたことによってこの作品は稀有な力を得たようにおもう。
原作の最終回をあっさり終わらせてしまったことも好感は持てる。
私は遅ればせながら、この「鬼滅の-」世界を知りどこか懐かしさをも感じさせるストーリー展開やキャラクターたちに自己投影や現実投影をしている自分を見た。
全体的に血なまぐさく、漫画的な動きや展開が多い。一部、野暮ったい心理描写(心の声)やストーリー進行を感じるものの、徐々に面白さにハマってゆく。
匂いと音に敏感になり、炭治郎に同化し、顔が猪の猪之助にさえ応援してしまう自分がいる。
映画版には、鬼の血液を採取して、鬼と対抗しようとする美人医者と少年の鬼コンビはでてこなかったが、やはり、原作コミックかTVアニメは一通り一回は見るべきだと思う。いいエピソードがたくさんある。
私はまだTVアニメシリーズを見始めたばかりなので、時間はかかるが生きる気力を思い出してゆくだろう。アニメを全て見終わったら映画版をまた観ることになるだろう。
●二回目を2020.2.10に見る。IMAXにて。
Amazonプライムで、全てのアニメシリーズを見終わって、しばらくたってからの、IMAX。
なんと二子玉川は、まだまだお客さんが入っておられました。
IMAXは、なんといっても迫力があり、ここで見て良かったと本当に思いました。
アニメシリーズを全てみて、映画二回目の私には、映画単体としては比較的単純な話だと思う。
しかし、四人の剣士が夢から目覚め、乗客の命を守りながら走っている列車そのものと闘うまでの展開などよくできている。とにかく迫力がある。
汽車がめちゃくちゃになり、全て終わったはずのもうすぐ夜明けの時間。
どーんと怒涛の第二部が始まってしまう。
初めての上弦の鬼で、しかも参で、徒手空拳のみの闘いというあまりにもストレートな鬼。
これとアニキが闘うのは、たしかにハマる。
二度三度見る人がいるのもわかります。改めてIMAXで見て、映像表現のクオリティはかなり高いし、声優陣も力が入っているのもわかるし、いわゆる弛んでいるところがほぼない。
私は鬼滅のコアなファンではないが、できたら、もう一度見たい。