「最高クオリティで見る事実上の「TV版1期最終編」もしくは「TV版2期前半」」劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 ヨヨ23さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0最高クオリティで見る事実上の「TV版1期最終編」もしくは「TV版2期前半」

2020年10月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

原作既読組です。
「クレヨンしんちゃん」は幼すぎ。
「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」はちょっと難しい。
そんな間を埋める小学校3,4年~中学生向けのアニメ映画の名作だと思います。
もちろん大人も「ホントそれ」と共感できる部分もあり楽しめます。

内容はTV版1期ラストから繋がる形で始まっています。
いわゆる「一話完結の長編映画アニメ」ではなく「映画のクオリティと時間尺になったTVシリーズ」と考えたほうが良いかもしれません。
シリーズ初見でも楽しめますが、TV版1期視聴(or原作読了予習)必須ないし推奨です。
でもこれだけ鬼滅ブームになっているから関係ないですね!

無限列車編を一本の映画でやってくれたことは本当に良かったと思います。
鑑賞後は漫画単行本を一気読みしたかのような爽快感が味わえます。
もしTV版でやっていましたら、1話24分という制約がある上に途中でCMが入り、いわゆるクリフハンガー的なお預け感で気分を削がれていたと思います。
内容も原作に忠実で安定感もあり、その上映画のクオリティと大画面で本当に最高でした。
あと禰豆子ちゃん可愛かったです。
善逸の夢とはいえ普通に喋っている貴重な禰豆子ちゃんは尊死できるレベル。

悪かった点としては、良くも悪くも「TVシリーズ(週刊)の内容を映画にした事」でしょう。
前述の通り、無限列車編を一本のアニメで、TVでは出来ないクオリティでやってくれたことは最高だったと思います。
しかし、映画としてみれば作品の「テーマ」が無く、「軸」や「筋」が通っていないという印象がありました。
週刊連載だった原作を忠実に制作した都合上、仕方のない事だと思いますが……
もしこれが「長編映画アニメ」として最初から制作されていたとすれば「幸せな夢」をテーマにした鬼に対し、「厳しい現実」を軸にした柱などのキャラが登場していたかと思います。
しかし内容はあくまで「鬼退治」であって、「夢」もその鬼の単体のテーマにしか過ぎません。
原作と同じく、鬼殺隊各キャラクターの掘り下げを兼ねた長編となっており、「敵味方のキャラクター各々が訴えるメッセージ」はあっても「映画一本で作品そのものが訴えるメッセージ」はありません。

メッセージが無いことは他の映画作品でもよくあることですし、それ自体は悪いことではありません。
自分が「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」を見た後で、より重箱の隅を突くような事を思っているだけかもしれません。
しかし、鬼滅という作品で最初から映画を作っていたら……と考えてしまっているのも事実です。

でもTV版1期を見ていて「原作面白いしTVアニメ面白かったし、この続編を映画で見たい!!!」と思って見るなら最高の出来になっています。
自分はコロナ予防の為に後ろの席で見ましたが、少人数ならばやや前の席で大画面の迫力を感じながら見ることをおすすめします。

ヨヨ23