「純粋に面白ければ」劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 Geso_de_Nyoroさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0純粋に面白ければ

2020年10月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

興奮

過去にも、その時々に幾度かアニメ作品がウケた事がありますが、この作品もその一つに数えられる事でしょう。ガンダムやエヴァ、ジブリ作品に、近年は君の名は。、進撃の巨人など。
共通してるのは、各時勢にウケる要素があったからでしょうが、ソレは世間にシッカリとマッチしないと駄目な様です。ガンダムは今でも作品展開してますがファースト時のアレ程の盛り上がりは既にありません。

本作は大正時代の設定で剣術武芸を用いています。時代劇みたく古くない、理解の及びやすい近代を背景に〝鬼〟と〝刀〟の初期設定がシッカリとマッチしていますし、キャラの立ち具合も良く解りやすく面白く描かれています。
時にシリアスに、時にコミカルに動き回る絵面は中高生の若い男女にもスンナリ受け入れられ、元々アニメに抵抗のない世代のため一気に浸透した様子。内容の面白さと劇場版としての出来・仕上がりもまずまずで、上記の観覧者たちにとっても比較的好評を得ていると見受けられます。

個人的には次の点が気になった所です。
まず列車に浸透した〝鬼〟のCGがあまり鬼っぽくない(鬼の変怪のイメージではない)事と、善逸・禰豆子のソロの見せ場がチョッピリしかなかった事。特に善逸はあの鬼の『マヤカシ』には強いハズと思われますが、ナゼか見せ場が淡白な印象でした。
次に、禰豆子の鬼キャラとしての立ち回りに期待していましたがコチラも然程目立った見せ場はナシ。当初は炭治郎とペアによる展開をイメージしてましたが、何故か善逸と一緒に(善逸の夢の中はアレでOK)場を盛り上げていました。蜘蛛鬼ルイ戦の時の覚醒みたいなソレでなくても、何か一つ見たかったかな。
しかし、今作は炎の柱『煉獄杏寿郎』が物語のセンターですので、メインキャラ唯一の女子とは言え抑え気味だった事情は何となく察しますが……
あと、戦いのシーンでアクションてんこ盛りでしたが、TV版からの続きとは言え多少でも登場人物の日常的な掛け合いシーンがあっても良かったかなと。他の柱たちの出番がチョイっと見せられるだけなのも少々勿体ないかと。特にしのぶさんとか皆見たかったのでは?

結論としては純粋に面白く鑑賞でき、まずまずの良作の仕上がりでした。特別に奇を衒う事はなく(必要もなく)、シッカリとファンの要求に答えた内容だったと思います。

Geso_de_Nyoro