「原作の世界観を映像で見事に表現したufotableの素晴らしい仕事」劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 tebasakiさんの映画レビュー(感想・評価)
原作の世界観を映像で見事に表現したufotableの素晴らしい仕事
アニメ全話視聴、原作もコミックス最新巻まで読了。
無限列車編は原作では7巻の途中から8巻の途中まで。無惨に惨殺された下弦の鬼たちの中で唯一許された下弦の壱・魘夢と、上弦の鬼初登場となる上弦の参・猗窩座が登場するパートです。
TVアニメの画がものすごく丁寧で綺麗、特に背景画の美しさが半端なかったので、本作もufotableの描く美しい画を期待して劇場に足を運びました。地上波のアニメが原作に極めて忠実な脚本だったので、恐らく映画も大ハズレはないだろうと予想していました。
実際、脚本は序盤の列車に飛び乗るシーンと産屋敷(お館様)の墓参りのシーン以外はほぼ原作通りで改変も挿入もほとんどありません。そのため、炭治郎が鬼殺隊に入った経緯や、仲間との関係、柱とは、血気術とはといった鬼滅の刃特有の概念は全く説明されないので、予備知識ゼロで観ると「?」となるかも知れません。
無限列車編は原作だと夢のシーンが走馬灯のシーンと混同しやすく、また、鬼でも何でもない普通の人が鬼に協力したりしているので、読んでいても分かりにくく、説明がかなり入るのですが、映画はナレーションなしで、画と台詞だけでうまく夢を表現していて、さらに無意識の領域の表現も素晴らしく、原作よりもよりイメージしやすくなっています。
特に映像で観ると違うなあと思ったのは列車と一体化した魘夢の姿。触手が動くことで鬼の気持ち悪さが格段に強く表現されています。あと画がとにかく綺麗。ufotableさんの仕事は本当に素晴らしいです。梶浦由記さんの音楽も映画によく合っていてうまく盛り上げています。
特に期待外れだったところはなく、悪い点はなかったと思います。あえて言うと杏寿郎の最後の言葉を彼の父に伝えるところまでやるのかなーと思ってたらちょっと手前で切ったところでしょうか。ただ、話を全部知っていても泣ける映画だし劇場に足を運ぶ価値、チケットにお金を払う価値は十分にあると思います。
この映画を機にコロナで遠のいた客足が戻って映画産業全体がまた元気になるといいなと思います。