「王道少年マンガかつ素晴らしい映像作品」劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 very1988さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0王道少年マンガかつ素晴らしい映像作品

2020年10月21日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

興奮

正直出来栄えを舐めてました。もともと初期から原作のファンではありましたが、アニメにはイメージ違いの声や雑な改変などを危惧して抵抗があるタイプのため去年口コミでブームになっていた時も頑なに未視聴のまま。
今回は子供達にせがまれて恐る恐る…という感じでした。
まず出だしのSLが力強く駅を発ち野山を駆ける段階でなんとも美しくノスタルジックな映像に心奪われる。まるでジブリか何かの名作アニメーション会社の映画のよう。これがジャンプのアニメ??
そして登場人物達の戦闘になると言葉を失ったまま見入ってしまう。あまりにカッコよく迫力もあり…そりゃ子供達にこんだけ支持されてるわけだ。
ネタバレを避けるためストーリーには言及しづらいが、原作未読の人達からするとここで終わったのだろうという所でまさかの展開と結末。
ジャンプの少年漫画の劇場版はハッピーエンド一択、最後は必ず勝つという安心安全のお約束・テンプレートがある印象だが、それに収まらない遠慮のなさや思い切りの良い展開がまたこのコンテンツの魅力。
主人公の夢が切なく、幼い弟の呼びかけに背を向けて歩くシーンは展開を知っていてもうるっときてしまったし
柱の母親による、能力がある者強く生まれた者が私腹を肥すのではなく弱いもののために力を使うのだという言葉は今の子供達だけでなく大人にこそ必要なセリフだと感じた。
ジャンプの子供向けアニメだと思っていたら大人の心にも刺さる名作。

ただ、全く原作もアニメも知らずいきなりこの作品を観た場合にはついていけないだろうし、尺の配分としてもう少しここはこうしてほしいという所はあった。
総じて、エンターテイメントを求める大衆受けは良いはずだし、この一本で完璧な起承転結の文学的映像作品として評価するのはお門違い。
あくまで王道少年漫画のアニメ数話分を映画にしたという前提のものです。

very1988