「圧倒的映像美で描かれる一人の鬼殺隊の生き様」劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 いろいろさんの映画レビュー(感想・評価)
圧倒的映像美で描かれる一人の鬼殺隊の生き様
鑑賞中、何度も声が出そうになった。
夢中になってスクリーンにかじりついた。
そこには一人の鬼殺隊の生き様が描かれていた。
その生きざまに魂が震えた。
見届けた後は涙がこぼれた。
本当に個人的意見だが、本映画においての主人公は炭治郎ではなく、煉獄杏寿郎だと思っている。
もちろん、終始炭治郎目線で物語は進む。
映画のタイトルにある「無限列車」を倒したのは炭治郎だ。
しかし、この映画の主人公は煉獄杏寿郎だ。
柱の「信念」と「強さ」が117分という時間で力強く描かれていた。
個人的な意見であるが、これら2つについて少し掘り下げる。
まずは「信念」について。
煉獄さんは鬼を倒すことより死者を出さないことを大事にしている。
それは、母より言われた「弱き人を助けることは 強く生まれた者の責務です」を大切にしているからこその行動だろう。
鬼を倒すことだけを優先するなら煉獄さんが先に進み、下弦の鬼を倒せばよかった。
それをせずに、乗客を救うことを優先した。
「鬼を倒す」ことは手段であって、目的は「人を助ける」。
これは煉獄さんの信念であると思っている。
鬼殺隊として大事なことでもある。
そして、それは炭治郎も持っている。
この映画で炭治郎に引き継がれたとも勝手に思っている。
次にその信念を貫けた「強さ」について。
この映画で始めて「柱」の戦いが本格的に描かれた。
そして、「上弦の鬼」もこの映画で初めて「強さ」が描かれた。
地上波アニメではなく、映画でやるにふさわしい戦いがスクリーンに映された。
息を呑んで観客は炭治郎とともに戦いを見守る。
上弦の鬼の圧倒的強さ。
それに張り合う柱の強さ。
そのバトルは思わず、「うわ」「煉獄さん!!」などの声が漏れそうになった。
自信の信念を実現するに十分な強さ。
それが十分に描かれていた。
この映画で煉獄さんは亡くなってしまうが、
煉獄杏寿郎が大切にしていたものは炭治郎たちに引き継がれた。
そして、柱に必要な強さをしっかりと後輩たちに見せつけていた。
117分という短い時間だが、煉獄さんの生き様がしっかりと描かれていた。
それは私は純粋に「かっこいい」と思えるものすごい生き様だった。
最後に煉獄さんの言葉を引用して、このレビューを締めよう。
「老いることも 死ぬことも 人間という儚い生き物の美しさだ」