「目くそ鼻くそ。それでも笑え。」はるヲうるひと はるたろうさんの映画レビュー(感想・評価)
目くそ鼻くそ。それでも笑え。
とある離島に点在する古い置き屋。その中のひとつ「かげろう」店を仕切る暴君の哲雄。哲雄の言いなりで雑用係りの得太。長年病を患いほとんどを家の中で過ごすいぶき。哲雄とは母親が違うものの3人は兄妹。そしてそこではるヲうる4人の女達。孤独な人達が傷を舐め合ってギリギリのところで生きているような話でした。
哲雄がボソボソこの世の終わりみたいなことを言い続けます。得太はある呪縛によってこの島と哲雄に縛り付けられています。いぶきは究極のかまってちゃんでニコチン依存のアル中です。
両親によって刻まれた深い溝を埋めることができずに憎しみだけが募ってゆく。全うな人間を演じてみてもそれは嘘だらけの鼻くそな人生。空っぽな哲雄。寂しい人。佐藤二朗が母親からの愛情に飢えた孤独なおっさんを好演。山田孝之もさすがでした。得太の独白のシーンは鳥肌がたった。
舞台版の名残なのか1対1の会話のシーンが多くてちょっとくどかったです。でもミャンマー人のワードセンスには脱帽でした。「自分の奥底からでてきたもの故愛がある」って(笑)捨てずに置いとくんかな。
とにかく笑え。無理して笑え。浜辺のラストシーン。みんな楽しそうだったけど、私は切なかった。
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