「新発明「嘘をつくとゲロを吐く」ドキドキ」ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密 shintaroniさんの映画レビュー(感想・評価)
新発明「嘘をつくとゲロを吐く」ドキドキ
プライドが高く、嘘が平気なキャラばかり。画面いっぱいにどアップで傲慢に話す。一癖もある顔芸演技派の役者達に、騙されないぞ!と言う用心深さが必要な気が、前半はずっーとする。
「嘘をつくとゲロを吐く」と言うびっくり設定である唯一の良心であり正直者の看護師さん。彼女は真剣であり必死なのに、探偵さんはニコニコ呑気。看護師さんに付き纏いながら、傲慢な金持ちが、嘘でしくじらないかを楽しそうに見ている。この設定構造は、推理映画にはよくあるなぁ。「嘘つき」「隠し事」だらけの話なので、確かに何かが、しっくり来ない。
ここで、「怪しさ」でヒントを出し、観客に真犯人を推理させる脚本は、よくある。
しかし、この映画は、核心のトリックや数々の証拠、犯人までもわざわざ中盤で観客に提供する仕掛けで、観客を困惑させる。
「えっ、この映画、答えを教えて、あとは謎解きスッキリ回収劇なの?」と思わせようとするが、「そんなはずは無い」(だって自殺したミステリー作家のプランがこんなに稚拙なハズはない)と観客が更に推理を働かそうとする。まさに監督の用意した「迷宮」に連れ込まれていく感がいい。
しかし、途中途中に「間抜け」感が漂い、どこまでもサスペンスに有りがちな、シリアスな背景や人物の深刻さは香って来ない。上品面した面々の化けの皮が剥がれる下品な言葉のオンパレードに麻痺したころ、
なんと観客はいつのまにか「真実はゲロが知っている」と思い始めているのである。笑。
そして、残された謎に連れて行かれる。「自殺事件」の解決を頼む探偵依頼人は誰なのか?。なんと真実を語るゲロは、真犯人に浴びせられる武器となるのである。
自殺凶器はナイフであり、冒頭切れ味が印象的に描かれ、ナイフで最後にドキッとさせるジョークに引っかかって笑わせる。
このジョークとと本格的ミステリーを絶妙にブレンドするために007やキャプテンなど、本格的俳優陣の魅力は、意外と必要不可欠だったかも。
浮気
解雇
教育費
認知症
マリファナ
移民
ヲタクといった社会問題もサラリと触れながら、人を想う良心が勝つ。
マイハウス
マイルール
マイコーヒー
の逆転劇も痛快である。
つまりこの映画、現代社会風刺の痛快劇なのだ。