「【”リレーは仲間がいないと走れない。”複雑な家庭事情を持つ思春期のヤサグレ少女の傷心と再生を描いた作品。オーディションで選ばれた原石のような若き方が主演の青春映画も、又良いモノである。】」テイクオーバーゾーン NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”リレーは仲間がいないと走れない。”複雑な家庭事情を持つ思春期のヤサグレ少女の傷心と再生を描いた作品。オーディションで選ばれた原石のような若き方が主演の青春映画も、又良いモノである。】
■田中沙里(吉名莉瑠)が11歳の時に両親は離婚し、母親(内田慈)は大好きな弟を連れて出て行った。
それから3年、陸上部エースながらも傍若無人で尊大な態度に過ごしていた沙里は、スーパーで弟と再会する。
しかし、そばにいたのは沙里の母親と、沙里とは走力の差がある微妙な関係の陸上部部長・雪菜(糸瀬七葉)だった。
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・田中沙里を演じた吉名莉瑠さんという若き女性の目力が印象的である。
両親が離婚し、父親(川瀬陽太:良い演者である事を再認識。)は工事作業者だが、金にだらしがない為かいつも金欠。
故に、父には”お前”呼ばわり、母には”アイツ”。
陸上部でも、唯我独尊を貫くヤサグレ少女を好演している。
・雪菜に故意ではないが、顔に傷を負わせてしまい、陸上部を辞めた後に、お婆ちゃんの家に弟と出かけた事を切っ掛けに、微妙な関係の陸上部部長・雪菜と徐々に心を交わし、父に初めて”陸上部に入部したい”と頭を下げ、クラスメートにも、陸上部員にも頭を下げるシーン。
ー 沙里が色々な出来事を経験し、少しだけ心が成長した事を示唆している。-
・そして、それまでは第三走者に指名されるとブー垂れていたのに、第三走者に指名されても素直に従い、大会へ。
■大会で第三走者として走る沙里が浮かべた笑顔。そしてバトンは雪菜に渡される。
競技後、厳しかった母親に”頑張ったね”と言われ優しく抱かれ、涙する姿。
そして、軽トラに乗った時に運転する父親の腕を強く掴む姿。
沙里の強気で傲慢な態度は、両親への愛情に飢えていた事が分かるシーンである。
<今作は、複雑な家庭事情を持つ思春期の中学生少女の傷心と再生を描いた作品である。アイドル主演の青春映画も結構好きだが、今作のようなオーディションで選ばれた原石のような若き方が主演の青春映画も、又良いモノである。>