悪なき殺人のレビュー・感想・評価
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「偶然」は一個まで。
後半は、お話を回収するためだけに費やされており、「よく練られた脚本」が自己目的化していて安い。ラストに至っては苦笑。偶然の面白さ、意外さは一個までにしないと...。あと一つ、ネットに引っ掛かる男の描写が軽すぎて、彼らがどうなろうと知ったことじゃねえや、という気にしかならないのは致命的。別に犯罪者でもスケベな男でも一向に構わないし、個人的にはそういう人物の方が好きだけど、最低限の想像力はそなえていてもらわないと(彼らの運命はこのあとどうなるんだろうか?)というドラマを共有する気になれない。「ちょっと辛味のある面白い映画を撮ろう」という当初の目標は買う。ただ買って損した気持ちになった。
は?
もうひとつの『偶然と想像(というか思い込み)』
R15だからすき好みは出るかなぁ…。
今年212本目(合計276本目)。
そもそも結構公開は前なのですが、他の映画におされて変な時間帯にしか設定されておらず、年の瀬のこの時期にやっとフリーで観てきました。
フランス語は英語ほどよくわからず、仏検準2しか持っていないレベルです(聞き取りだと1割かよくて2割)。
ということでこちら。もともと、 Only the animals(「動物だけ」/元のタイトルは「動物だけが知っている」)という事情から、動物も出ることは出ますがほんのちょっとだけ。
最初に全体像はもう出てしまって、後からどうやって主人公たちがこの結論にたどり着くのか、という「最初に提示してエンディングに収束させるかを問う」という、ときどきあるタイプのストーリーです。
なお、R15であるのは、やや大人の営みのシーンが多い(ただ、本質的に必要なところと、なくても良いのではと思えるところがある)からであり、暴力的なシーンや不穏当な発言はほぼほぼない状況です。
他の方も書かれていましたが、結局「ラストへの収束」というのが見どころになるので、途中はよくわからない展開が続きますが、ラストまで見ると「なるほどね」ということがわかります(もちろん、ある程度ヒントは隠れていますが)。また、フランス以外でフランス語が話されるコートジボワール等も出ますので、黒魔術がどうだの精霊がどうだの(「聖霊」ではない模様)、結構マニアックな字幕も出ますが、出るだけで本質的にはかかわってこないところです。
まぁ、R15という事情もあるし、ミニシアター中心ではありますが、「ツイッターやラインなど、相手がだれかわからない人を安易に信用するのはダメですよ、ましてや素性のわからない人に送金したりするのもダメですよ」というのはありますが、それは常識的範囲内なので、そこは論点にはなりづらい(見る方の一般的なリテラシーからすれば常識範囲)と思いますので、結局「ラストに向けての収束度合い」をどう楽しむか、に尽きると思います。
上記のような事情があるので、最低限でもラインやSNSなどの知識があれば、と思います。地名こそそこそこ出ますが、それまで追っているときりがないので(コートジボワール等、そもそも調べにくいところも出てくる)、そこはもう割り切りかなと思えます。
採点にあたっては下記が気になりましたが、小さい傷と思うのでフルスコアにしました。
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(減点0.2)この映画、上記で触れたように「SNSによるやり取り」が一つのファクターをしめます。当然、やり取りは全部フランス語ですが、字幕はつきます。
英語では、時制というと、現在時制と過去時制の2つ(未来時制を認めるかは緒論ある)ですが、フランス語では過去時制といっても「複合過去」「半過去」「単純過去」という3つの過去形が存在します(単純過去は純粋な「過去形」ですが、今ではよほど硬い文章以外では出てこない)。ただ、複合過去と半過去は普通に出てくるのですが、字幕上見分けがつかず日本語でいう「~した?」「~した」という日本語でいう「過去時制」で統一されているので、仏検準2といえどもその理解がある前提で見ると、やや混乱を招く(この2つは用法が違うので、正しく翻訳しないと、いつの話をしているかわからなくなる)かなぁ…という気がします(ただ、どうにしても、過去時制が突然未来時制のように代用されるケースはないので、誤解が生じる余地はない)。
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後は任せる…って、悪なき殺人とは??
フランスの山奥、普通なら交わり得ない人達が、ある女性の失踪事件を中心に巻く渦に引きずり込まれていくオムニバス形式ミステリー作品。
農夫と不倫妻、チョロい旦那、アフリカの詐欺師、同性愛娘…運命のいたずらで繋がった人物達が、ある女性の失踪殺人事件にどう絡んでいくのか?果たしてその真実は?といった所に迫っていくアプローチが見どころ。
もうね、オムニバス形式の物語が、最後に一つになるって展開だけで個人的には垂涎モノなわけですよ。しかもジャンルが大好きなミステリーとくれば期待値は爆上げなワケでして。。
しかし、それでもガツンと刺さったわけではないのは、ミシェルがアホすぎるのと、その他登場人物で応援したくなるなるようなのが一人もいなかったのがでかいかな。。
それと、偶然には勝てない…ってのは間違いないけど、ちょっと出来すぎでは!?これは流石に映画でしか起こりえない(笑)もはや精霊様(⁉)が関与しているとしか思えない(笑)
それでも、完全独立はしていないものの、各物語が少しずつ干渉していく様にはゾクゾクしたし、不自然なセリフが聞こえたのも編集ミスかとさえ思ったが…成程そう繋がってくるわけですね。
みんな欲深かったですしね。間違えた方向に欲を出すと痛い目みるぞーってとこでしょうか。そんなメッセージがあるのかはさておき、出来すぎとは言え、欲深い人間達の小さな偶然から殺人事件という大きな問題につながっていくまでの手法は見応えがありました。
オムニバスが好きで最後にスカッとしたい(スカッとは違うかも…)人にはオススメ。最後の最後まで偶然の驚きと恐ろしさを体感させてくれる作品です。
但し一つだけ…「悪なき殺人」って…。これどう考えても悪以外の何物でもないでしょう。
高評価の意味がわからん
人は愛を求め、愛を失い、愛を得る。
…何でしょう、このポエム。
フランス語なら西アフリカの何処かかな…コートジボワールって書いてあった。アビジャンってそんな大都市なんだねえ。
視点を変えて描くならこのくらいはしてほしい。視点人物が変わるとガラリと様相が変わってくる構成大好き! シリアスだったりコメディだったり、ホラーめいたところもあったりの切り替えがメリハリがあって良かった。
アニメ絵アイコンの向こう側はそうなっているんですね。勉強になりまあす。ミシェルさん…いいの本当にそれで?
愛とはないものを与えること。あるものを与えるのは快楽だ。
ラスト3秒に、人間の怖さが詰まってる
脚本や演出が秀逸、話が一周するのは気持ちいい
悪魔的偶然のヒューマンミステリー。見て損なし。
すんごく面白かった。上質のミステリーでもあり、ちゃんと現代のドラマにもなっていてこれぞストーリーテリング、ってのを観た。
黒人の貧民街風の国(コートジボワール)と寒い冬のヨーロッパ、ふたつの国に共通するフランス語。そして始まる寒々しい冬の田舎町の夫婦のドラマ、不倫、失踪した女の事件、失踪する夫。視点替えしてなるほど、とか思ってるとまさかのアクロバティックな絡みで事件の事実、しかもかなり奇妙な、というか、悪魔的偶然で事が起き、人が出会い、人が死んでく様が描かれる。
最後の最後のはそこまで偶然でなくとも、と思ったりもするけど、南の国の猥雑な貧民街の彼女の顔が、人もいない寒々しい高級別荘に佇む様が、このアクロバティックな物語の締めによかったのかも、と思った。
意外と面白い
面白い。
見終わった瞬間、立石タイガーの「コマ割り絵画」や「虎の絵」を思い浮かべてしまった。
ある事柄を当事者側から見た事実として、輪廻していく。それぞれの事象は、ちょっと突飛だったり、ご都合主義的な事が多かったけれど、作品全体として非常に上手く出来ていて、面白かった。
こういう方法を取れば、限りなく面白い映画が出来てしまうのではないだろうか?と思わせてくれた。
冒頭シーンは、引きカメラで冬のフランスの農場を写す、とても絵画的。そして寒々した夫婦関係がなお一層、冬の厳しさを思わせてくれる。で、一転 暑苦しい部屋でPCを操っている黒い人たち。白から黒への急転。
そして、ネットの中の美女に夢中になってしまうミシェルは、『ジュリアン』に出ていたお父さん😳うーん、顔にインパクトあり、私には、クラーナハの豪胆公に見えてしまう。ま、そんなに威厳は無いのだけれど🤔そしてもう一人、マリオンは、ジョン・カリンが描く女の子に似ていて非常に魅力的だった。
私には、色々な絵画を思い起こさせてくれた映画だった。
⛄️・🚙・🐕
雪が降り頻るフランスの山奥の町で1人の女性が行方不明となった。
事件の関係者は町の人間から遠い異国まで広がり、偶然によって全く関係のなかった人物までもが事件へと結びついていく。
やられた。面白い。
一つの愛が他の愛を呼んで偶然が連鎖していく。
章立てになっており、ひとつひとつのピースが型にはまって大きな物語が構築されていくが、この映画のジグソーパズル、完成はしない。
それぞれの登場人物たちの物語はそれぞれ途中で終わりを迎え、彼らのその後は描かれていない。
そして、ラストのあの展開。
まだまだ終わらなそうな偶然にワクワクしながらの幕引き。
やりすぎとも言える偶然の連発には思わず笑みが溢れた。
正直、悪なき殺人などないと思う。
作中でも実際に手をかけた人物のあの行動は悪ありまくりだった。
不倫とか詐欺とかストーカーとか、寧ろ悪で溢れかえっている。
ただ、この映画は殺人がどうだとか不倫がどうだとか、そういう話ではない気がする。
全く説教染みずに多様性を描ききったのも評価ポイント。
国、人種、愛の形。
昨今、ポリコレがなんたらで作品自体が別物になることもあるけれど、ミステリーというエンタメの中で何気なく多様性を描けるって素晴らしい。
グローバルになった世界では、地球人である以上完全に他人でいることはできないのかもしれない。
人間は偶然には勝てない。
人と人、時間と時間が繋がった時の爽快感が堪らない傑作だった。
これは駄作です。(ネタバレ有り)
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