悪なき殺人のレビュー・感想・評価
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悪魔的偶然のヒューマンミステリー。見て損なし。
すんごく面白かった。上質のミステリーでもあり、ちゃんと現代のドラマにもなっていてこれぞストーリーテリング、ってのを観た。
黒人の貧民街風の国(コートジボワール)と寒い冬のヨーロッパ、ふたつの国に共通するフランス語。そして始まる寒々しい冬の田舎町の夫婦のドラマ、不倫、失踪した女の事件、失踪する夫。視点替えしてなるほど、とか思ってるとまさかのアクロバティックな絡みで事件の事実、しかもかなり奇妙な、というか、悪魔的偶然で事が起き、人が出会い、人が死んでく様が描かれる。
最後の最後のはそこまで偶然でなくとも、と思ったりもするけど、南の国の猥雑な貧民街の彼女の顔が、人もいない寒々しい高級別荘に佇む様が、このアクロバティックな物語の締めによかったのかも、と思った。
ヴァレリア・ブルーニただ好き
見ようかどうか迷っていたのだが、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキが出ていると知って、背中を押された。フランソワ・オゾンの映画で初めて知ってから何本か見てきたが、この映画出演時には彼女も早55歳。これからは配役の傾向も変わってくるんだろうなとは思う。
登場人物たちそれぞれの視点で各章つないでいく構成は良いが、最後の“アマンディーヌ”のパートが、(全体のネタばらしもあるからいたし方ないのかもしれないが)長いしダレる。殺人に至るまでの錯綜した因子の組み立て方はなかなかうまいと思った。複数視点と言えば、同じテデスキさんが出ている「人間の値打ち」も似たような作りの映画だった。
邦題は意味不明。“悪”がないわけないし。原題は最初の方で、ジョゼフについてアリスが言及した「動物だけを話相手にしている」に由来しているのかと私は解釈したが…?
意外と面白い
面白い。
見終わった瞬間、立石タイガーの「コマ割り絵画」や「虎の絵」を思い浮かべてしまった。
ある事柄を当事者側から見た事実として、輪廻していく。それぞれの事象は、ちょっと突飛だったり、ご都合主義的な事が多かったけれど、作品全体として非常に上手く出来ていて、面白かった。
こういう方法を取れば、限りなく面白い映画が出来てしまうのではないだろうか?と思わせてくれた。
冒頭シーンは、引きカメラで冬のフランスの農場を写す、とても絵画的。そして寒々した夫婦関係がなお一層、冬の厳しさを思わせてくれる。で、一転 暑苦しい部屋でPCを操っている黒い人たち。白から黒への急転。
そして、ネットの中の美女に夢中になってしまうミシェルは、『ジュリアン』に出ていたお父さん😳うーん、顔にインパクトあり、私には、クラーナハの豪胆公に見えてしまう。ま、そんなに威厳は無いのだけれど🤔そしてもう一人、マリオンは、ジョン・カリンが描く女の子に似ていて非常に魅力的だった。
私には、色々な絵画を思い起こさせてくれた映画だった。
⛄️・🚙・🐕
雪が降り頻るフランスの山奥の町で1人の女性が行方不明となった。
事件の関係者は町の人間から遠い異国まで広がり、偶然によって全く関係のなかった人物までもが事件へと結びついていく。
やられた。面白い。
一つの愛が他の愛を呼んで偶然が連鎖していく。
章立てになっており、ひとつひとつのピースが型にはまって大きな物語が構築されていくが、この映画のジグソーパズル、完成はしない。
それぞれの登場人物たちの物語はそれぞれ途中で終わりを迎え、彼らのその後は描かれていない。
そして、ラストのあの展開。
まだまだ終わらなそうな偶然にワクワクしながらの幕引き。
やりすぎとも言える偶然の連発には思わず笑みが溢れた。
正直、悪なき殺人などないと思う。
作中でも実際に手をかけた人物のあの行動は悪ありまくりだった。
不倫とか詐欺とかストーカーとか、寧ろ悪で溢れかえっている。
ただ、この映画は殺人がどうだとか不倫がどうだとか、そういう話ではない気がする。
全く説教染みずに多様性を描ききったのも評価ポイント。
国、人種、愛の形。
昨今、ポリコレがなんたらで作品自体が別物になることもあるけれど、ミステリーというエンタメの中で何気なく多様性を描けるって素晴らしい。
グローバルになった世界では、地球人である以上完全に他人でいることはできないのかもしれない。
人間は偶然には勝てない。
人と人、時間と時間が繋がった時の爽快感が堪らない傑作だった。
これは駄作です。(ネタバレ有り)
今年見た中で最低と思いました。年の瀬にわざわざ見に行って損した気分。前評判が良すぎ。 ネットでなりすまし詐欺とか今どき当たり前でしょう。何度もテレビドラマ化されてます。母を亡くした病気持ちのジョルジュに奥さん惚れますかねー!?ジョルジュは庭先の怪しい毛布に包まれた物をわざわざ隠しますかねぇ!?(死体フェチ?)長年の親友の犬を殺してまで?ミシェルはなんで死体をジョルジュの庭に? フランス人の旦那もわざわざ愛人と子供を、女房が行方不明になった土地に連れてきますかね? 等など、
細部の疑問は尽きないし納得出来ない。 「パーフェクトケア」はentertainmentとして最高でした。比較になりません。
構成が良かった。
・冒頭のシカ?は何だったんだろうと思った。
・詐欺?のチャットで使った画像の人物が実際に目の前に現れるっていうのが、とても面白かった。
・マリオンの画像や動画はどういうとこから見つけたのかなぁと思った。ウェイターじゃなくて娼婦だったのかなぁ。
・ミシェルがアフリカ?に直接会いに行って怒りをぶつけるのが面白かった。マリオンもだけど行動力が皆凄い。最後、チャットしてきてのは誰だったのかな、と思った。
・アフリカ?の暮らしの栄枯盛衰の感じがすっごい切なかった。今も好きな前妻が外国の金持ちに囲われてる?のも、絶望的な気持ちになるなぁと思った。ラスト、マリアンの夫がフランスの家に連れてきてたとこで幕が降りたのが、えっ?ここで?と思った。
・皆、成就しない片思いの果てって感じと冬の景色も相まって寂しくなった。両思い以外に片思いって何であるんだろう、と思った。
・各チャプターの構成がとても良かった。因果関係がわかった時、なんかスカッとした。特にジョゼフとミシェルの感情の乱れが面白かった。
せつない片思い
退屈な日常の身近な関係性の間で一方的な恋慕が交錯する
そばに居る人に注ぐべき気持ちを大切にできなくなり、かりそめの安らぎやひと時の快楽に逃避する人々の顛末
破滅してもなおそこに垣間見る至福とは?
「羅生門というよりはBABELを彷彿。一発の銃弾から物語が始まった...
「羅生門というよりはBABELを彷彿。一発の銃弾から物語が始まったBABELと違ってこちらは人間の欲望、業が生み出す悲劇の円環を描いていて、ある意味ブラックな喜劇でもあった。登場人物はみんな愚かな選択を行うんだけど、観客にその選択に自問させる作りが物語に深みをもたせていた。
簡潔にして完結。
他の方が十分にレビューしているので、主観的感想と疑問で。
ポスターが姥捨山やん。
死体なき殺人事件?死んだおばさんは誰なの?
ヤギを飼ってるジョセフと牛を飼ってるミッシェル、なにかの隠喩かな?
いきなりのフリン。それと、目が合ってのレズビアンの関係になるまでの早いこと。これはフランスだから?日本人のおっさんには分からない感覚だなあ。
ネカマには注意。特に写真や動画を送ってきてお金の話を持ち出すやつ。寂しいおっさんが簡単に釣れる。
マリオンと写真の女が私の目には同じには見えなかったけど、可愛かったのにやってることがペケペケ。
死んだおばさんの犬はどこへ?
ジョセフが身を投げた穴は?
最後のチャットの相手はアルマンなのか?
大筋では伏線回収がきちんとされて後味のいいサスペンスホラーでしたね。
マリオンを演じたナディアテレスヴィッツは可愛かった。
秀作っぽい雰囲気に溢れた凡作
一見バラバラに見える散りばめられたピースが、最終的にカチッと一つにまとまるところに快感がある。のだと思うのです。
しかしこの作品は、話の進行とともに見知らぬピースが登場し、ただそれらが繋がっていく様を見せられるだけ。『風が吹けば桶屋が儲かる』が、結構に都合のいいピース達で展開されていく。こちらとしては「まぁそういう人が出てくれば繋がるよね。だからなんなん?」となってしまう。
一見妙味のある脚本にも思えるが、実は少しややこしく書いた人物相関図がそこにあるだけ。「偶然性」をテーマとしているからかもしれませんが、世の中の偶然をそのまま描かれてもまぁ。ねぇ。せめて最初にみんなを見せてくれればねぇ。
ネカマチャットのシーンで妙にウケているおっさん達が数名いましたが、色々とキツかったです。
エロくそな自分たちの人間賛歌
失踪した一人の女性、そして彼女と直接係わりがあった4人の男女、さらには彼らと直接あるいは間接的に関係した5人の男女の群像劇。
日本語のタイトルに偽りあり?
悪も悪意も在った。
完全に犯罪だった。
原題(Seules les bêtes)の直訳(獣のみ)が相応しい。登場人物は皆クソだった。しかし誰のことも否定することはなかった。エロくそな自分たちの人間賛歌となった。
すべてが一方通行の愛も潔い。
スタイリッシュだと思う。
各々の登場人物にバトンを渡し、各々の視点で語っていくスタイル。時系列を前後させつつ、点をしっかりと線にしていく脚本は見事だ。
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