「タイトルなし」悪なき殺人 柴左近さんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし
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Filmarksオンライン試写会にて鑑賞
2019年の東京国際映画祭で公開された時から気になっていたので、当選は嬉しい限り。
その時は「動物だけが知っている」という邦題だったが、このままの方が良かったのではないか。
登場人物それぞれの視点で真実が炙り出されていく構成は最近だと「最後の決闘裁判」があるが、この悪なき~の方がより多視点の構成が功を奏している。
有るものを与えるのが快楽
無いものを与えるのが愛
という劇中の言葉がキーワードになっていて、この映画の登場人物それぞれが愛に飢えている。愛を渇望し、誰かが行動を起こすと、連鎖的に偶然が重なり、悲劇が起きる。映画として観ていると悲しいものがあるが、世の中の人間模様も端的に表せばこれと大差ないのではないか。
見応えがあったが目につく部分も少なくない。ポスターにも写っている男性ジョセフの描写は正直イマイチ。病んでいる人という設定の大枠だけしか観客には読み取ることができない。折角魅力的なキャラクターなのに、物語の辻褄を合わせるためだけの存在となってしまっている。
そして肝心の殺人のシーンもなんだかリアリティに欠ける。映画はリアリティが全てな訳ではないが、説得力は大事だ。
果たしてあんな軽率に事を起こすだろうか。
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