「それぞれのノイズィ」ミセス・ノイズィ みなともさんの映画レビュー(感想・評価)
それぞれのノイズィ
早朝から布団を叩かないといけない理由をノイズィはまきに対して最初にちゃんと説明しようとしているのに、聞く耳を全くもってないまき目線の前半フェイズではその声が掻き消されているあたりに、まき含め一般的に凝り固まった"常識"の形がある。
まきの娘が放ったノイズィ夫と一緒にお風呂入ったもんね発言さえ、先入観で最初は犯罪的なフィルターで捉えてしまったが、後半のノイズィ視点になった時、犯罪者でもロリコンでもなんでもない事が明らかになり、自分の心の汚さが露わになって恥ずかしくなった。
いかに表面的、断片的に見える部分だけで物事を判断し、善悪を決めつけてしまう人間心理が恐ろしいものかとがうまく表現できている作品である。
また全体を通して安易にバックミュージックを極力入れない事により、日常の生活音のSEが時に騒音に、また時に耳障りよく聞こえてくるのはテーマ性と噛み合ってて上手い演出だと思った。
人によって同じ音でも感じ方は違うから個々にとってのノイズィは劇中何かしらある。
世論や同調圧力で白黒入れ替えるメディアやマスコミ。世間的に上級とされる弁護士や裁判官なんかより、常に俯瞰で物事を見極め冷静な判断をしているのがキャバ嬢という職業に1番のアイロニーを感じた。
最後にひとつ。私にとっての日常のノイズィは職場の同僚が休憩中に観るYouTubeのロボットボイスのゲーム実況である。
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