劇場公開日 2020年12月4日

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「ズルい脚本」ミセス・ノイズィ Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5ズルい脚本

2020年12月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ストーリーが進むにつれて、徐々にゴールがずらされていくような、つまらなさが残った。

そもそも、“ミセス・ノイズィ”の迷惑行為が発端のはず。
ところが、途中から脚本は、“ミセス・ノイズィ”の人格像を一変させてしまう。
いや、正確に言えば、“二重人格”を保ったまま、その時々で都合良く使い分けていると言って良い。
まともな人間が、あんな暴れ方をしたり、罵詈雑言を吐くはずはないのだ。

これは非常にズルいやり方で、自分は不快だった。
「事実は視点で変わる」のではなく、「事実を脚本が勝手に変えた」ということは、はっきりさせておく必要がある。

また、実在の人物のスキャンダル動画を、作家も出版社も放置し、利用しさえするというのも、実際はありえないだろう。
あまりに不自然すぎて、「もし今の日本でそうなったら、どうなるか」という仮定の話にすらできない。

さらに、「メディアリンチ」や「SNS炎上」がテーマかと思ったら、違う方向に収束する。
映画「よこがお」や映画「許された子どもたち」と比べると、レベルが低いと言わざるを得ない。

「現代版『羅生門』」という評価は、的外れだ。
見終わった直後は、まあまあ満足だったが、思い出すにつれて、だんだん脚本の詐欺的やり方に気付いてくると、腹立たしい気分である。
脚本は観客を手玉に取っても良いが、キャラクターの設定を勝手に変えたり、不自然すぎる設定でストーリーを展開させて欲しくないものだ。

自分としては、ストレートに「ご近所迷惑」に切り込む作品が観たかったし、そっちの方が社会的意義があるだろう。

Imperator