「29歳の監督が作り上げたところにインド映画の活力を感じる。」サーホー yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
29歳の監督が作り上げたところにインド映画の活力を感じる。
2時間50分とかなりの長尺ですが、『バーフバリ』シリーズを体験済なら苦もないでしょう。もっとも物語としては途中で大きな区切りがあるので、ここで休憩が入ると嬉しい観客も多いと思います。
アクションはもちろん、世界各地を美男美女が巡るイメージ映像としても十分楽しめるサービスぶりです。
本作の監督と脚本を務めるスジートは、制作時の年齢が29歳という、まさにインド映画界の新星です。彼は2014年に長編映画を初監督しましたが、同作が高い評価を受けたことが、今回の抜擢につながりました。彼はインドでもテルグ語圏で生まれ育っており、このことも同じテルグ語圏映画界の俳優であるプラバースの起用に繋がった可能性もあります。これだけの長尺をまとめ上げた手腕を考慮すれば、間違いなく今後も注目すべき映画監督のひとりです。
インド映画界の大スターで、日本でもファンが多いプラバースを主演に据え、アクションや見せ場がてんこ盛りの本作は、さぞかし本国でも高い評価を受けているのだろうと思ったら、興業面ではともかく(興業初日収入としては『バーフバリ』に次ぐ歴代2位の記録)、作品の評価自体は芳しくありません。
インド映画を複数のジャンルを盛り込んだ「マサラ映画」と捉える見方は日本でも根強いですが、インド映画界はよりジャンル映画としての方向性を定め、作品の完成度を高めていく方向性を模索しているようです。
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