「鬼は少食?」約束のネバーランド ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)
鬼は少食?
子供達が知恵を出し合って大人を出し抜くのが痛快だ。年長の優秀な3人がリーダーになって脱出を実行するのだが、その他大勢はほとんど赤ん坊同然の子供達である。そんな小さな子供達を動かすのも見どころになっている。この孤児院は人間と鬼との妥協でできたようだが、原作はいざ知らず、映画ではあまり鬼の存在は物語の本質には関係ないように見える。単なる脱出劇と見れば、いろいろな仕掛けや展開の妙があって興味深い。まず管理人に完璧に管理されている関係がある。構造上ほとんど脱出は不可能な設定があり、外部から隔離されて何も手段が手に入らないというハンディもある。おまけに足手まといになる小さな子供達も一緒に逃がさなくてはならないという責任もある。一旦はつぶされたかに見えた脱出計画が、3人のリーダーの文字通り命を張った行動で逆転して進められるのがクライマックスである。
鬼と人間の微妙な関係や、「檻」を「楽園」にする設定なども斬新で、原作では詳細に描かれているのかもしれないが、本作では単なる背景に過ぎず印象に残らない。3人の子供達と管理人イザベラとの緊迫感あふれるやりとりがこの作品のすべてであると思う。
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