劇場公開日 2020年6月26日

「ひとり軍隊・・・最後まで貫く《孤高のヒーロー像》」ランボー ラスト・ブラッド 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ひとり軍隊・・・最後まで貫く《孤高のヒーロー像》

2022年7月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

シルベスター・スタローンは「ロッキー」シリーズと、
「ランボー」シリーズのふたつ、性格の違うのヒーローの生みの親です。
ロッキーは万人に愛される正義のヒーロー。
対する「ランボー」は怒り出したら手がつけられない男。
ランボーに程よい闘いなんかない!
ベトナム帰りの元グリーンベレーは、爆破も警官襲撃も厭わないPTSDを患う
半分くらい狂気の男です。
ブレーキの効かない「怒り」がランボーのランボーたる存在価値。
(御行儀のいいスマートなヒーローをお望みなら、やめたほうがいいです)
「ランボー」5作目ののシリーズ最後の完結編は、立派に「ランボー精神」を貫いた
真正の作品・・・
老いたスタローン精一杯のアクションと「ひとり軍隊」の真髄が見られます。

1作品目の「ランボー」の原題は「最初の血」
そして最後の5作目は「ランボーラスト・ブラッド」
その名も奇しくも、「最後の血」なのです。
レイティングはR15。
目を背ける残酷シーンも盛り沢山。
復讐に燃えて全てを復讐に捧げる「老いた獣」
やはりランボーの怒りを消す消化器は、最後の最後まで機能しません。
敵の血の、最後の血が一滴も無くなるまで、戦い抜きます。

故郷アリゾナの牧場で悠々自適に暮らすジョン・ランボー。
ベトナム戦争の悪夢は未だに忘れることがない。
しかし家事一切を任せる身内のような家政婦のマリアと孫娘の
ガブリエラをランボーは娘のように愛していた。
そんな穏やかな日々が突然変わる。
ガブリエラが幼い時別れた実父をメキシコに探しに行き、
人身売買カルテルに誘拐されてしまうのだ。
いてもたっても居られず、老骨に鞭打って救出に向かうランボー。
潜入した部屋で再会したガブリエラは、麻薬漬けにされて、ボロボロの
抜け殻だった。
一度は、麻薬カルテルの男たちにメタメタに痛めつけられたランボーだったが、
「手負いの獣は、逆襲の、復讐の炎を倍返しどころか、10倍返し!!」

メキシコからアリゾナの牧場へおびき寄せることに成功する。
ランボーのアリゾナの自宅の納屋は地下に、迷路のようなあり得ないほど広い地下要塞・・・なのだった。
とんでもない数の銃と爆薬(ダイナマイト)武器としての・・(槍など)
周到に準備された闘いは壮絶を極めて釘付けになりました。
ひとり忍者のように神出鬼没のランボー。
その殺戮のバリエーションの多さと、悪党たちの断末魔。

最近のスタローン作品のクオリティに較べると格段の完成度でした。
エグくて、残虐、やり過ぎ感はあるものの、
「帰ってきたランボーは、老いても健在」
そしてエンドクレジットで流される若き日のランボー。
筋肉が盛り上がり実に美しい・・・思わず見惚れるエンドロールでした。

それもあって、席を立った時は満足感で一杯でした。
(私は暴力や復讐を礼賛する気持ちはなく、エンタメとして楽しみました)

琥珀糖