「老いてなお健在、ジョン・ランボー!」ランボー ラスト・ブラッド おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
老いてなお健在、ジョン・ランボー!
ランボー第1作を観たのは遠い昔。当時は、ランボーの行動の意味が理解できず、戦場で鍛え抜かれた肉体と戦闘スキルだけが印象に残りました。その後、テレビやビデオで何度も鑑賞する機会を得て、少しずつランボーの怒りや苦しみが理解できたような気がします。そして、以降の作品を通して、ベトナム帰還兵としての苦悩を抱え、それでも戦い続ける孤独な戦士としてのランボー像が、自分の中にできあがっていきました。そんな彼にこうしてまたスクリーンで会える日が来るとは、感無量です。
実は、シリーズ中の前作だけは未鑑賞のため、本作のどのあたりが前作からつながっているのか知りませんが、最後までまったく問題なく楽しめました。ストーリーは、平穏に暮らすランボーが、実の娘のようにかわいがって育てたガブリエラを拉致され、その奪還と復讐を果たすという、極めてシンプルなものです。シンプルであるがゆえに、序盤で描かれる平穏な暮らしが前フリにしか見えず、ガブリエラがフラグを立てたところで先の展開は手に取るようにわかってしまいますが、このシンプルさがランボーらしくて気持ちいいです。ただ、ランボーの抱える心の傷は一貫したものなので、できれば第1作ぐらいは鑑賞してから臨みたいところです。
本作の見どころは、もちろんランボーの戦闘シーン。平穏な日々を送るランボーが、ガブリエラの窮地を知るやいなやメキシコに向かうシーン、売春宿に救出に向かうシーン、自宅で復讐を決意するシーンと、一段また一段とギアが上がっていく様子がかっこよくもあり、恐ろしくもありました。老いたランボーの眼光が鋭さを増し、闘気が全身を包み、かつての彼を彷彿とさせるようでした。
ここまで彼を駆り立てたのは、怒りと悲しみから生まれた復讐心に他なりません。なぜなら、ガブリエラは実の娘同然の存在というだけでなく、ランボーにとって、人として生きることの支え、生きることの許しを与えてくれる存在、生きる意味そのものだったからではないでしょうか。そんな彼女を失ったランボーを、もはや誰も止めることはできません。自宅は、文字どおり血みどろの凄惨な戦場と化しました。トラップも殺し方もエグすぎて、目を背けたくなるほどでした。
ランボーの復讐は果たされますが、彼は満たされません。見ているこちらも満たされません。それなのに、気づけば涙が滲んでいました。埋めることのできない彼の心の穴に同情したのか、彼の行く末を案じているのか、それともこれでランボーの見納めとなる寂しさなのか…、自分でもよくわかりません。ひとつ言えることは、この作品を劇場で見ることができてよかったということです。エンディングで過去の名シーンがフラッシュバックしたときは、思わず胸が熱くなりました。できれば、BGMは「It's a Long Road」にしてほしかったところです。
最後に一言。メキシコ…恐ろしい国。((((;゚Д゚)))))))