劇場公開日 2020年3月7日

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「香港、福島、沖縄、カンボジア、シリア、北朝鮮。世界中あちらこちらで...」わたしは分断を許さない すずの母さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0香港、福島、沖縄、カンボジア、シリア、北朝鮮。世界中あちらこちらで...

2020年3月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

香港、福島、沖縄、カンボジア、シリア、北朝鮮。世界中あちらこちらで起こっている分断の現場に、堀さんはカメラを持って乗り込む。860時間にも及ぶ映像を105分に短縮し、描きたかったのは、わたし、という小さな主語で語ることの重要性。わたしは、こう思う。わたしはこう考える。わたしはこうする。そのことを表明してこそ、向こう岸にいるかのように思える相手と対話できる。それがこの不条理と不正義がまかり通る社会を変える唯一の道だ
というメッセージがつたわってきた。

圧倒的な力をもった国家権力(企業の理不尽な行為も結局は国が見逃している)によって、人々の幸せが打ち砕かれる。どんなに抗っても、何も変わらない。人々は分断される。その現実を見るのがつらくなる。しかし、それに目をそむけず、わたしはおかしいと思う、と言い続けることがいかに大切か。その価値を再確認し、勇気をもらえる映画だった。

かつてNHKで、NHKの看板アナウンサーとして活躍していた堀さん。3.11以後に彼は退職し、「わたし」となった。政治権力の腐敗を忖度して報道できないメディアの記者たちにも「わたし」を取り戻してほしいと、この映画を見ながら思った。

次々とあまりにいろいろなことが起こり、当事者ではない人間は、悲惨な出来事や事件を忘れてしまう。しかし、それらはすべて現在進行中だ。それを改めて確認させてくれる映画でもある。

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すずの母