フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊のレビュー・感想・評価

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4.5最初の3分で離脱・意味不明になる人が出そう…(説明入れてます)。

2022年1月28日
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今年24本目(合計297本目/今月24本目)。

架空の雑誌社をテーマにした、ほぼ3話からなる文系ネタというお話。

ただ、この3話の中に出てくるお話が、かなり文系ネタに偏っており、しかもどの作品もかなりの知識を要求するというマニアックさがある一方、開始3分からマニアックなセリフが登場するという状況で、かなり人を選びそうな気がします。

とにかく情報量がありすぎな映画で、最初の3分でマニアックなセリフで帰りそうな人も出てきそうです(まぁ3分では帰らないと思いますが…)。一方で、事実上3話(実際には4話だが、3話とみなしうる)に分かれており、そこで描かれている「テーマ」はぶれていないため、その話をしはじめると一気にネタバレで、そのあたりものすごく難しいです。

どうにもこうにもレビューのしにくい映画で、一方で、実に他分野な事項(主に文系。理系ネタはほぼなし)を深く取り上げるため、とにかく色々な知識に詳しくないとハマリ現象が発生します。

  ※ 1話目:話題1つ
  ※ 2話目:話題2つが重なる。しかもこの「話題」2つは完全に分野違い。
  ※ 3話目:話題1つだが、3話目のみやや理解はやさしい(難しい内容を扱っていない)

一方で、この映画は実は「国語的に」(=換言すると、英文法的に)本国でも議論の的となっていることを扱っている部分があります。この部分を理解していないと最初の3分でアウトになるという特異な映画で、正直ここがかなり厳しいです。
日本もアメリカもそうですが、雑誌にせよ新聞にせよ、出す前にはだいたい「校閲」という作業が入ります。日本では「ら抜き表現」等がチェック対象になるように、アメリカでもチェック対象になる文法事項があります。この映画はそこを本質的に最初から問う部分があり、ここで最初から???になる方が続出するのでは…と思います。

この部分の説明はいると思うので、さっそく採点に入ります。

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(減点0.3) 何度も書いている通り、「雑誌の校閲」という特殊な事項が裏で登場する割に、その字幕が「懸垂分詞や分離不定詞、スペルミスなどはチェックの対象だ」という、一見して「???」なものです。正直「懸垂分詞や分離不定詞」の意味が分かる方はかなりレアではないかと思います。

 日本では英語教育は中高までで、英文法もそこまで詳しく扱わず、これらは一応「よくないとはされるが、学校英文法までそこまで扱うのも酷」ということで、大学入試や英検等でもそれらはあまり考慮されず、一方で就職すると、英検よりもTOEICよりな風潮があるところ、TOEIC系の教材では「懸垂分詞や分離不定詞」を扱うことはまずもって存在しないため(これらの語句そのものが出てこない)、日本でこの字幕が理解できるのは、英文学科卒という方以外だと、英検よりの知識を持っている方くらいしかおらず、極端にマニアックです。

一方で、アメリカではこれらは日本でいう「ら抜き表現」と同じような扱いで、普通に議論の対象になります。要は、日本とアメリカでは「文法に関する考え方が違う」のであり、その前提でこの字幕はかなり厳しいです。とはいえ、字幕担当の方もあることないこと書けないのであり、もう前提知識を持っていくしかないと思います。
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 ▼ 懸垂分詞や分離不定詞(はチェックの対象)の「懸垂分詞や分離不定詞」って何?

  ● 懸垂分詞

 ・ 分詞構文で、分詞節の意味上の主語が、主節の文の主語と同一ではないのに省略する書き方を「懸垂分詞」構文といい、アメリカ英語(=アメリカ国内では、「国語」)では非文法的とされます。

  >> Looking for a theme, a good idea occurred to me.
  (テーマを探しているうちに、よいアイデアが思い浮かんだ)
   ※ 例文引用:「ロイヤル英文法」

    ・ Looking for a theme の意味上の主語:「私」か、少なくとも「人」
    ・ a good idea occurred to me の主語: 当然 a good idea
     → この2つが異なる。このように主語が異なる分詞構文の場合、主語を文中で明示しなければならない。

  ※ ただし、意味内容的に「良いアイデア」が「テーマを探す」ことはありえないため、「好ましくはないが、理解に妨げはなく、誤解を招かない」という扱い。

 ● 分離不定詞

 ・ 「to 不定詞」 の to と 不定詞(動詞原型) の間に、他の語句(主に副詞)が入ってくる現象を「分離不定詞」といい、こちらは懸垂分詞以上に許容派(日本で言えば「ら抜き表現」容認派のようなもの)と、否定派の「いや、国語的にはダメだ」という争いが大きいところです。

  >> He failed to entirely comprehend it.
 (彼はそれを完全に理解することはできなかった)
  ※ 例文引用:同上

   ・ to 不定詞(to comprehend)の間に、entirely「完全に」という副詞が入っていることに注意。

   → アメリカで習う「規範的な英語」ではアウト扱い。日本でも「良くない」とはされるが、あまり意識はされない。

 実はこのようなことを序盤3分で述べていて、「懸垂分詞(dangling participle)や分離不定詞(Split infinitive)やスペルミスは…」という部分につながっているのですが、それが説明なしに登場するのはものすごくきついです…。

  ※ …という、実は裏側では「雑誌社での「文法の校閲」という、アメリカ国内での模範国語(=英文法)のお話」がこっそり絡んでくるセリフなのであり、日本国内ではここまで深く学習する機会はまるでないので、極端に難しい状況になってしまっています。

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  ※ このことは、日本映画なら、例えば何の映画でも「そのら抜き表現、正しく修正しておいたよ」であれば、少なくとも多くの方は理解できても、この他言語バージョンでこの「ら抜き表現」を正確に翻訳してしまうと、大半の外国の視聴者は理解しえない、というのと同じ話です。
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yukispica

4.0だから?…という感じではあるが…

2022年1月28日
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鑑賞方法:映画館

やっぱりシンメトリーな画角とカラフルな色使いの映像とサイケな間と、アニメまで取り込んだ展開がもうとにかく見ていて楽しい。一場面一場面静止画にして飾りたい。楽しめたー。

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peanuts

3.5少し眠いが見方にコツがある。

2022年1月28日
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鑑賞方法:映画館

フランスの架空の新聞社の社長が急死、遺言で会社を畳むに際して会社とパリの歴史を紙面担当者がジャンル分けして語る話。

いつものウェスアンダーソン節全開で絵の一枚一枚美しく面白いのだが、どうしても話しがオムニバス化してしまい、大きな流れが出来ず眠くなってしまった。

例によって豪華キャストが湯水の様に使い捨てられているがレアセドゥの婦警姿と裸に萌た。あとシアーシャローナンめちゃ端役。ベニチオデルトロ汚いのが似合う。
インタビューで役者達が「ウェスの撮影は楽しくて、最高なのは食事の時間だ」と言っていた。
スタッフも役者も皆んな一緒に食べて会話するらしい。
コロナのご時世に微妙だが、憧れの俳優やスタッフと話せる機会はやっぱりかけがえの無い時間だ。

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masayasama

4.0あの裸体のポーズはドミニク・アングルの絵画「泉」ですね。

2022年1月28日
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鑑賞方法:映画館

知的

難しい

しかもポーズをとっているのは最後のボードガール「レア・セドゥ」なのだからその美しさはハッと閃めく。

そうなのだ、
この映画は所々に絵画や映画の名シーンをパロディとして利用されているのだ。

アナタは何ヵ所パロディを気づいたでしょうか?

さて、作品自身はとても分かり難い、
と言うより分からない。

まあ画面を流し観ながら最後に各人が感じることがあると思う。

それは絵画、文章、映画、活動などを創作する者達へのオマージュではないかなぁ

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カールのおっちゃん

3.0途中離脱勿体ないな

2022年1月28日
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鑑賞方法:映画館

始まって30分位で離脱する人何名か。。

確かに映画というよりは、本を読んでるような美術館にいるような。。

ベルヴィルランデブーが好きなわたしは、アニメが全編でも観てみたいなと、思った次第。

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ムーミン

2.0わけわからん

2022年1月28日
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すごーく期待してたのですが、開始30分の間は、???..と、全然内容について行けず。
その後は時々睡魔に襲われて、結局当方にとってはなんのことかわからない映画になってしまいました。
画面は絵本を広げたような色彩と構図で、とても楽しかったのですが、残念です。

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ニモ

4.0雑誌愛に溢れている❤️

2022年1月28日
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鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

知的

目が廻りそうだった。遊園地でたまたま乗ったメリーゴーランドが有り得ない程の最速スピードでグルグル回ってるような、隅々まで美しくて笑えて面白くて情報量ありすぎの静物画のような。何度も止めながら味わいたいと思った。フォントが適材適所、夢のようによかった。

雑誌記者とフランスへのラブレター映画だった。どの挿話も大好き。イントロの昔と今の対比写真(映像)は好み。天才画家とミューズ兼看守の関係は面白くて笑えた。殺人犯の囚人による前衛絵画・・・皮肉っぽい。フランスの68年学生運動(発端は5月でなくて3月なんだ)の話はよかった!チェスで戦う・・・皮肉っぽい。執筆担当がマクドーマンドなのはぴったり。タバコくわえてるシャラメに尋ねたい、「筋肉が恥ずかしい」ってどんな感じ?(あ、マチズモの終焉とフェミニズムの始まり?)ジュークボックスから流れる音楽よかった。警察署長の息子誘拐で使われたアニメーションはベルモンドの「大頭脳」を思い起こさせた❗️子どもとパパとの意志疎通にモールス信号は相性がいい。

出演することを事前に知らなかった4名を認識できたのは個人的に嬉しかった:クリストフ・ヴァルツ、ドゥニ・メノーシェ、シアーシャ・ローナン、エドワード・ノートン。

この雑誌のバックナンバー全部欲しい。表紙だけでもください!

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talisman

4.0レア・セドゥーに釘付け

2022年1月28日
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楽しい

知的

とにかく膨大な情報量で集中して見終えた後には疲労感も感じられるほど。だけど雑誌ってこんな感じ。様々なジャンルが集まり沢山の情報(絵や言葉、写真)で埋め尽くされている。なるほど、映画で雑誌を表現したのか!

ジャーナリスト達が集う編集部の様子から物語が始まり、章立てに雑誌の中の物語が綴られていく本作。お気に入りの絵本のページをめくるような描写、物語の中にさらに物語があって、まるでマトリョーシカ。

オーウェン・ウィルソン、ビル・マーレイ、フランシス・マクドーマンドらウェス・アンダーソン作品の常連組に加ベニチオ・デル・トロ、ティモシー・シャラメ、ジェフリー・ライト
、ウィレム・デフォー、シアーシャ・ローナン、レア・セドゥー.....
錚々たる豪華なキャストたちの名前がずらりと並ぶも、刮目しないと気づかなかったりもする(シアーシャ・ローナンどこにいた?ってくらいに出番が少ない)

全体的に演劇要素が強く、ポップで詩的でいて極めてアーティスティック。カメラの色調、モノクロの画質など全て美しく、ストーリー構成にも引き込まれた。

大衆向けの作品ではないものの、ハマる人にはカチッとハマる作品かと。
それにしても、レア・セドゥーのボディの美しさと来たら、、、。私も筋トレに励もうと刺激を受けました!

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あさ

5.0ウェス・アンダースンのフランス愛充満

2022年1月28日
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今日は休暇を取り、封切り初回で待ちに待ったウェスの最新作「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」鑑賞しました

4つのエピソードでフランスだけでなく、いろんなモノ、コトへの彼のリスペクトが眩しいくらいに散りばめられています。失われゆく物へのレクイエムかと思いきや、未来への希望が紡がれていましたヨ(*^^*)

また1本、生涯忘れられないだろう素敵な映画と出会えました😚

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あさちゃん

4.0芸術的で、寓話的で、そしてよくできたコメディ

2021年11月4日
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東京国際映画祭にて。ジャパン・プレミア。
上映前にウェス・アンダーソン監督からビデオメッセージが。「犬ヶ島」のときは来日してめちゃくちゃサービス精神旺盛なところを見せていたウェスだけに、ほっこり。
内容は(あのやたら長ったらしいタイトルの)「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」の最終号の記事の物語。私は情報不足すぎて編集部の群像劇かと思ってた。そしてビル・マーレイがめっちゃ出てくるのかと思ってた。両方違った。
メインの「記事」は3話あるのだが、どれもどこか寓話めいた現実感のなさを纏いながらも、痛いところ突いてきますよね、という筋立て。
3話は人によって好みがわかれそう(今ざっと目を通しただけでも皆好きなストーリーが違う)なのだけれど、私はどれも違ってどれも素敵だった。強いていうなら2話目のフランシス・マクドーマンドはとても好もしくて、少し憧れめいたものを感じた。1話目のレア・セドゥのあの冷たい情熱表現も彼女にしかできないんだろうなあ、と思った。
個人的には3話目でコックのスティーヴン・パークが語る言葉とそれをカットするジェフリー・ライトのくだりがいちばんぐっときました。
それぞれのストーリーが、笑いを引き出しながら静かに心を揺さぶってくるのがやっぱりウェス・アンダーソンだな。
あとはやはり圧倒的な情報量。ウェス・アンダーソンにはいい意味で隙間がない。映画の画の構図や余白はバッチリ決めながら、そこを外してくる巧みさというか。スタンダードサイズで、モノクロとカラーを絶妙に切り替え、かつ、スタンダードサイズの「外」を使うという…(というかシネマスコープに切り替えてるんだけど、完全に枠外使ってますねという感覚が)。
そしてアニメも使う。あのアニメ最高に良かった。アニメ使うならもうあそこしかないよね、という場面でばしっと。そういう「頃合い」を分かっているし、情報量は多いけど全部拾えなくていいのよ、楽しんで!という思いを勝手に感じたのだった(全然違ってたらごめんなさい)。
惜しむらくはやっぱりよみうりホールだったことかな…。ホールの良し悪しじゃなくてやっぱりあそこは「映画館」じゃないのが難しい。もう一度映画館で観れば多分もっと入ってくる情報が増えるだろう。ある意味映画館の偉大さを感じる。

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andhyphen

4.5静止画凝視

2021年10月22日
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もうね、映画の新作というより、芸術家の動くアート作品。
鬼才ウェス・アンダーソンの新作。相変わらずファミリー総登場。そして、場面場面の情報量の多さに目眩。ワンカットづつスチールにして、虫眼鏡で画面隅々まで凝視していきたい。
もうすごすぎて言葉もない。

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t2law