「既視感はあるものの何だったか思い出せない」フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊 くーにー62さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0既視感はあるものの何だったか思い出せない

2022年5月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ウェス・アンダーソン作品、恥ずかしながら初見です。いくつかの作品は気になりながら見逃していて、高名のみ伝え聞くに、なんとなく敷居高そうな、めんどくさそうな、でも波長合いそうな気がしていた。
今作、どうもフィルモグラフィーの中では特異なポジションのようだが、飄々としてなかなか好きなセンス。どことなく初期のウディ・アレンを思わせる批評眼とぺダンチックなナレーション。パステルカラーの色彩とやや浅いモノクロの画面が交互に出てきて、規則性があるようなないような。
演劇的な演出と横スクロールがお好みで、2次元的表現が相当好きなんだなあと思ってたら実際にアニメーションまで飛び出した。どこまでも人を食ったような設定、ストーリー、キャラクター。今さらだけど、これはギャグ映画なんだね。
高踏的というのか、都会的というのか、パリのエスプリというのか、既視感はあるものの何だったか思い出せない妙な感覚。モンティ・パイソンか? 60〜70年代の風俗を相当意識しているのは明白だが。
エンドロールに登場するフレンチ・ディスパッチの表紙イラストが楽しい。このアートワークは極めてレベル高い。画集が欲しいぞ。

くーにー62