「焦げたトースト」フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊 パプリカさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5焦げたトースト

2022年2月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

もっと観たい欲に駆られて2回観た。
ウェスアンダーソンなら観なきゃと条件反射で観てきたが、細部に渡るまでのこだわりだとか、人物がフレームインしてくる計算され尽くした画面、正直鼻につくとまで思っていた。

しかし今回はそれが、なんとも癖になる程心地よく目を奪われてしまった。
カッチリと完璧な構図と動きそして淡々としたセリフ、無機質な雰囲気を装いながら、それぞれのストーリーの最後には抑えきれない程の人間味が溢れるセリフがポロっとこぼれる。
このコントラストに不意をつかれ、わずかな表情とセリフだけで心はヒタヒタに満たされてしまう様だ。
個性的でこだわりの強い登場人物がとことん貫く様子に、少しだけマイノリティを味わう事がある私は勇気と安心感をもらった。

シモーヌの本質を感じる愛情とか、
ゼフィレッリの表情と香りに包まれる詩、
命拾いしながも、味について口走るネスカフィエ。
味わいながら観た2回目は絶品だった。

パプリカ