劇場公開日 2020年2月7日

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「2008年より前の尺が長すぎるんだよな」ハスラーズ つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 2008年より前の尺が長すぎるんだよな

2025年12月18日
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鑑賞方法:DVD/BD

アングロサクソン系ではない人種は基本的に差別される側だ。そこに男女差も含めて階級分けすると彼女たちは最底辺ということになる。
ストリップクラブで金を余らせている男どもに夢を見させ稼ぐ。それは彼女たちなりのアメリカンドリームだ。

しかし2008年。アメリカの夢は潰えた。
真っ当に生きようとするもアングロサクソン系の男女は彼女たちを助けてはくれない。
生活が困窮し、自分たちが守りたいものを守れないかもしれないとなった時に、彼女たちは助け合い団結し犯罪に手を染めていく。

人種差、男女差、格差下層からの叫び、女性の友情を超えた家族のような絆。
よくある白人と黒人に分けた二極化ものよりも、テーマや内容は良かったと思うが、基本的な面白さというものが少々足りなかったように思えた。
極端な話、ジェニファー・ロペスのポールダンス以外見所がないと言ってもいいほどにエモーション不足だったと思う。

この作品はアメリカでそこそこヒットしたらしく、他にも最近いくつか作られている「底辺の叫び」系だというだけで売れてしまうのは、全世界的なことではあるが特にアメリカでは深刻な問題になっていそうだと思った。
よく日本人だと「自業自得」だとか、「所詮は犯罪者」「真っ当に生きろ」のように書く人もいるが、それは起こった事件だけを見て「なぜ」の部分を見ていないと思う。
普通に生きることさえ人種や性別のせいで困難だった場合、それはその人たちのせいだろうか?
努力が足りない?。人によってはそうだろう。
しかし本作のラモーナやデスティニーはストリップクラブで稼ぐために研鑽を重ねている。つまり努力しているわけで、好んでストリップクラブで働いているわけではないのだから、クラブで働く前から努力していたと見るのが自然だ。
努力しても報われない人々の怒りが爆発寸前のところまでアメリカは来ているのかもなと思うのです。
まあ「ジョーカー」とか分かりやすいよね。爆発しちゃってるし。

なんか半分くらい作品と関係ないことを書いた気もするけど、それくらい余り書くことがない作品だった。

最後に一つネタバレのダメ出しを。

逮捕されたあと、取引をしたというデスティニーに、なんてバカなのと言いながら抱き締めるラモーナのシーン。ここで感動できなかったのがイマイチ面白くなかったことを如実に表していると思う。
娘を守るため強くなったデスティニー、本当に「最強」になったデスティニーをラモーナが祝福するシーンだ。
頭で状況は理解できるが、ラモーナがデスティニーを祝福することに積み上げてきたものがなく説得力がない。

つとみ
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