「ざまあみろ! 女の友情は最高だ!」ハスラーズ 天秤座ルネッサンスさんの映画レビュー(感想・評価)
ざまあみろ! 女の友情は最高だ!
女の友情は男のそれよりも希薄だというイメージが強いのは何故だろう?と不思議に思う。時に女の友情なんてないと言い切る人までいたりするから尚更。女同士の関係に厄介なことが多いのは理解できるけれど、しかし女同士の友情は確かにあるし、それが男のそれよりも希薄だなんて絶対に思わない。この「ハスラーズ」を観て私はその思いを強くした。この映画で一番強く印象に残るのは、女たちの友情であり、絆だったからだ。
この映画に描かれる「女 対 女」の関係性がとても真摯で誠実ですごく良かった。世間は(というか特に男性は、と言った方がいいのかもしれない)女同士をすぐに対立構図に仕立て上げたがる節があるのを度々感じるのだけれど、この映画に描かれる女たちにそんなめんどくさいことをする人など存在しない。全員がタフで清々しくて気持ちのいい人ばかりだ。人種も入り混じってベタベタするでもなければ裏で手薬煉を引くでもなく、そこには男同士の仲間意識よりもあっけらかんとした友情がある。やっていることは犯罪だし、許されることではないにしろ、なんて気持ちのいい友情だろうと思ったし、なんて気持ちのいい映画だろうと思った。
犯罪映画として考えれば手口が甘いし、その犯行シーンの爽快感というか外連味のようなものはやっぱり少し薄味かもしれないと思うけれど、私はこの映画を女の友情の物語だと思ったし、そう思えば大満足の映画だった。
そして今回はジェニファー・ロペスがとにかく良かった。今まで何を間違えたかロマコメのヒロインみたいな全然似合わない役ばかりやってその都度こき下ろされていたロペスが、ようやく原点に戻ったかのように名演を見せている。忘れている人もいるかもしれないけど「セレナ」のあの名演こそ彼女本来の才能である。本人に付随するDIVAのイメージを逆手に取るかのように、そしてまた一流のアーティストだけが持つ絶対的な「華」を活かしてトップストリッパーであり主犯でもあるラモーナを体現。コンスタンス・ウー演じるデスティニーの先輩であり、親友であり、時に姉となり、時に母となりながらすべてを受け止めていく大きくて深い演技の素晴らしさ。ロペスをこんなに見直す日が来るなんで思ってなかったけど、この映画のロペスは最高にクールだった。