劇場公開日 2020年2月7日

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「もちろんJ・ロペスの美しさは絶賛に値するが、主演の誰もが際立っている。」ハスラーズ yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0もちろんJ・ロペスの美しさは絶賛に値するが、主演の誰もが際立っている。

2020年3月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ジェニファー・ロペスとスクリーンで再会したのは『ザ・セル』(2000)以来だから、実に20年ぶり。当時も素晴らしく美しい容姿だと思ったけど、現在はゴージャス感も加わってより輝きが増していました。

彼女と共演しているもう一人の主人公、デスティニー扮するコンスタンス・ウーは、ストリッパーとしてはなかなか芽が出ないという役柄上、最初は控えめな演技が目立ちましたが、J・ロペス演じるラモーナとの共同ビジネスに乗り出すあたりから俄然輝きが増します。脇を固めるカーディ・B、リゾらもそれぞれ見事に役柄を主張しています(各方面での活躍ぶりからすると当然ですが)。

このように多様性、ボディポジティブムーブメントに強く配慮した配役である一方、Hustle(客引き)の餌食になる男性はみな一様に白人のビジネスエリートで、言動も罠にかかる経過も判で押したように同じであるという点で、演出上のバランスの悪さを感じました。もちろんラモーナらはウォール街で暴利を貪っているエリート証券マンを標的にしていたので、ある程度男性像が似通ってしまうのは仕方ないことです。しかし、幾つかのアクシデントを除いて男性達が同じ手口にだまされ続けるため、途中で少し退屈を感じてしまいました。目論見を見抜かれて危機に陥る、という場面が一つでもあれば緊張感が保てたと思うのですが。だまされた側の男性は友人の誰にも手口を明かさなかったのか、という疑問も残りました。この辺りは現実の事件の経過に忠実だったのかも知れませんが、必ずしも実際の出来事に忠実である必要はなかったかと思います。

映像も俳優も(パンフレットも)、非常にきらびやかですが、パンフレットでジェーン・スーさんが指摘しているように、彼女らの夢は必ずしも叶えられた訳ではありません。むしろラモーナとデスティニーがこのビジネスを手がけたのは、それ以外の夢が潰えたから、とも言えます。その点を踏まえると、本作は女性の力を全面的に信じ、称賛している訳ではなさそうです。結末でラモーナの手から舞い散るあるものが、彼女らの夢や努力のはかなさを象徴しているように思いました。

yui