「オンナたちの「グッドフェローズ」」ハスラーズ みっくさんの映画レビュー(感想・評価)
オンナたちの「グッドフェローズ」
ストーリー展開は正に「グッドフェローズ」
友情、成功、そして破滅…
実話モノの「犯罪」ドラマの定番の展開を魅せる。
じゃあ、ありきたりな映画か、というと全然違う。
先程「犯罪」と括弧書きにした意味は?
彼女らの行為が果たして犯罪と言える言えるだろうか?
違法行為か?YES!
アンフェアか?YES!
シロかクロか?うーん???グレー???
彼女たちは確かに客をダマした。
彼女らがダマした連中は、サブプライムローンで、客をダマしたのでは?
サブプライムローンで儲けた連中の中には、
リーマン・ショックで会社が破綻したあと、救済のための公的資金から、多額のボーナスや退職金を貰った連中もいた、と何かで読んだぞ。
劇中であるように「男たちは自業自得」だ。そのとおり。
「違法行為だろう」と彼女たちを批判するモノは、
バットマンやデアデビルにも同じコトを言うのか?
冒頭で紹介されるよう、ウォール街には3種類の人間がいる。
1 ルールを守るヤツ。当然カネはない。
2 ルールを少し踏み超えるヤツ。小金持ち。
3 ルールを無視するヤツ。大ガネ持ち。しかもルール違反が許され罰せられることはない。
じゃあ、彼女たちはどれに当てはまる?
リーマン・ショック前は、1だ。
リーマン・ショック後の前半は2だ。時々は稼げるが、そうそう上手くいくハズはない。
ほどなく3に移行する。
で、最終的は罰せられる。
これがフェアか?
最後にJロペスが言うように、法律がどうであれ、当時のウォール街、当時のNY、当時のアメリカがこうだったのでは?
つまり「ダマした方が勝ち。」ということ。
問題は、これが「当時」という一時期の話なのか、現在もそうなのか、ということ。
将来のことは分からない。
だが、多数の人間をダマしてカネ持ちになった輩が、ホワイトハウスの主人に収まっている。それが現代だ。
本作のスゴイところは、
テンポよく、スタイリッシュに、エンタメとドラマを融合させ、
説教臭くない程度に、深い社会的テーマをサラっと描いたところ。
オスカーノミネートは無くとも、監督はもっともっと高く評価されるべき。
誰しも見るべき傑作。