「本当に立ち向かうべきなのは、父ではなく現実」IDOL あゝ無情 セロ弾きさんの映画レビュー(感想・評価)
本当に立ち向かうべきなのは、父ではなく現実
アイドルに興味が無かったワタクシ、アユニDからBiSHに興味を持ち始め、ついにWACKの映画を鑑賞するに至る。
この映画は2019年WACK合宿オーディションにおいて、プロデューサーの渡辺が課した試練の裏に秘められた「期待と愛情」を受け止れなかった第2期BiSメンバー達が、どうして解散に至ったかを記録したドキュメンタリー。
ムロは良い娘だと思う。アヤやハナも勿論頑張ってた。
けれど芸能界というのは、消費者に搾取され、プライベートもクソも無い生活で、年齢も重ねていくうちにピークも去った先の人生と向き合う...
そんな現実の中、漫画やアニメのヒロインのような感情論だけでは生き残っていけないのですよ。
「アイドル戦国時代」なんて言われてるのだから尚更、どうすれば売れるのか、メンバー同士の強みをどう高め合い支え合うのか...
という「チームアーティスト」としての試練が待っている訳です。
ただ用意されたプロデュースの元、大人達のお人形になっているだけでは当然消えてゆく訳です。
それに気付けずただ自分達のエゴで「9人でBiSを続けたい」と言うならば、会社側も「渡辺の元から離れて自分達でやって」となる訳です。
そこまでしてエゴを通せないのなら、彼女達にBiSへの愛があるとは言えないし、芸能界から立ち去って、人生の時間を無駄に費やす事なく普通の女性として幸せを掴み取って欲しいのです。
そういった渡辺の真意、愛、期待を「理不尽」としか受け取れなかったからこそ第2期BiSは解散してしまった...。
逆に言えば、今売れてるBiSHや、EMPiRE、そしてGANG PARADEのメンバー達は、そういった試練と闘いながらステージに立っている...。
WACKアイドルをより応援したくなったし、第3期BiSの娘達にも注目していきたいと思わせてくれた、そんな映画でした。