劇場公開日 2019年11月20日

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「短めの尺にみっちり詰め込まれたマイノリティの苦悩」虹色の朝が来るまで 克晴さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5短めの尺にみっちり詰め込まれたマイノリティの苦悩

2019年12月1日
iPhoneアプリから投稿

LGBT、という言葉はだいぶ浸透してきましたし、おっさんずラブのように真正面からセクマイを描くエンタメも出てきました。元々、日本は宗教的な背景から、世界レベルで見ればセクマイに寛容な方だとも思います。
また個人的な環境として、私の周りにはセクマイをカミングアウトしてる人(カミングアウトの範囲はそれぞれですが)がわりかし多く、ともすればセクマイはもう結構受け入れられてきたのでは?と勘違いしがちです(私自身はストレートです)。

が、実際はまだまだ無知・無理解な人は多く、ごく普通に見える言葉(「彼氏いるの?」など)でも立派なナイフ攻撃になります。
そして本作のカップルはろう者同士。ろう者というだけで大きなハンディキャップ(あえてこう書きます)なのに、さらにろう者は学校等が少ないため世界が狭く、言ってみれば「逃げ場が小さい」。そんなダブルマイノリティなカップルの苦悩が、少ない台詞(手話)と秀逸な演技でがっつりと伝わってきます。

ただ好きなだけ。ただ幸せになりたいだけ。
そんな純粋な気持ちを普通に応援していける、そんな社会になってほしいです。
今のところ上映館はかなり限られていますが、ぜひたくさんの人に見てほしい作品です。

以下ちょっとネタバレ。
(まぁ作品紹介に既に書いてありますが)

中盤から他のろう者LGBTQが何人か出てきますが、それぞれが持つエピソードがまたシンプルながら重い。しかしそれを聞いているうちに、私たちもこれでいいんだ、と思えるようになる主人公カップル。
きっとこれからも悩みは尽きないでしょうが、乗り越えて幸せになってほしいな、と願ってしまいました。

克晴