「【”鹿皮のジャケットに憑りつかれた孤独な男。そして、ジャケットを着る世界で唯一の人になる!”物凄いシニカルな、ダークコメディ。】」ディアスキン 鹿革の殺人鬼 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”鹿皮のジャケットに憑りつかれた孤独な男。そして、ジャケットを着る世界で唯一の人になる!”物凄いシニカルな、ダークコメディ。】
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■妻には愛想を尽かされたジョルジュ(ジャン・デュジャルダン)
彼は、山道を車を走らせ初老の男に会い、イタリア製の鹿皮のジャケットを7500ユーロで購入し、おまけにビデオカメラを貰う。
そして、彼は銀行口座を妻に凍結されつつも、山間の宿に一カ月逗留し、会う人々のジャケットを様々な方法で奪い出す。その方法には、殺人も含まれる。
そして、彼の”映画撮影”をバーで働く孤独なドゥニ―ス(アデル・エネル)もそれに助力し始めるのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・何とも、奇妙な作品である。ジョルジュは見ていると明らかに、人生の敗北者であるが、それを認めないが如く、鹿皮のジャケット及び鹿皮の帽子、ブーツ、ズボン、手袋を購入していく。そして、それらを身に着けた自分の姿を鏡に映し、自己陶酔していくのである。
・彼には鹿皮のジャケットの言葉が聴こえる。精神を病んでいるのだろう。”ジャケットを着ている世界で唯一の人になる。”
・彼は自分をじっと見ている気味の悪い少年に石を投げつけ、怪我をさせる。だが、ラスト、彼は高地の野原でドゥニ―スに自分の姿をビデオで撮らせている時に、少年の父親からライフルで、”鹿を撃ち殺されるように、撃ち殺される。”
そして、ドゥニ―スは彼を心配する様子もなく、彼の鹿皮のジャケットを脱がせ、自分でそれを着てカメラを自分に向けるのである。
<今作は、鹿皮に憑りつかれた男と、彼を支える振りをしていた女の、愚かしくも恐ろしき自己陶酔するためには、手段を選ばない姿を描いた、ブラックダークな作品である。>
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