8番目の男のレビュー・感想・評価
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【"疑わしきは、被告人の利益に" 「12人の怒れる男」韓国コミカルバージョンであるが、見事な法廷劇でもある。】
-被告人、カンは母親をベランダから突き落とした尊属殺人犯として、韓国初の"国民参与裁判"に掛けられる。法曹界のトップを狙う男は"簡単に"処理し、自ら韓国の法曹界に民意を入れた事を手柄にしようとするが・・-
・ 2008年、韓国で初めての裁判員裁判が取り入れられたが、最初の裁判には様々な疑念があった。
・幼き頃、母親の瑕疵により顔面と手に大火傷を負ったカン。状況証拠も十分である。更に韓国の儒教思想から尊属殺人は死刑が妥当。だが、少し天然な"8番さん"は、ひょんな事から勾留中のカンと会った際に気付いた事に拘る。
-この辺りのコミカル的な見せ方が絶妙に上手い。何故なら制度上、裁判員と被告人が直接会う事は出来ない。-
・裁判員の"遺体清掃30年の6番さん"は被告人が金槌で母親を殴ったなら、血痕の付き方がオカシイと主張するが、退廷させられる。
-韓国、法曹界の従来の姿勢は変わっていない・・-
■ だが、被告人が書いた"家族解体理由書"の真偽に疑念が生じる所から流れが、変わる。早く終わらせたい裁判員達の心が、変化していく様、徐々に明らかになる事件の真実。そこには、被告人カンの母親の深い息子に赦しを求める想いがあった・・・。
〈白鳥事件をテキストに学生時代、嫌という程叩き込まれた"推定無罪"をテーマにした、実に面白い韓国法廷映画である。〉
意外と硬派で意外と感動的だった
陪審員裁判の映画というと思い浮かぶのが「12人の〜」で始まる2作品。どちらも好きな映画だ。
さて、本作は韓国の陪審員裁判を描いた映画。陪審員裁判を扱っただけであの2作品を連想してしまう。そりゃそうだ。本作は実際にあった事件・裁判を基にしている。そして陪審員の人数は8人。これがちょうどいい人数だった。あまり混乱せずに陪審員のキャラクターを理解することができた。
量刑ではなく有罪無罪を審判することになった陪審員たち。彼らの人間性と協議過程と明らかになっていく事実。法廷劇として完成度は高いと思った。
さらには感動もさせてくれるんだからなかなかお得な掘り出し物の映画。主演のパク・ヒョンシク目当ての客も多かったと思うが、幅広い客層に受け入れられる映画だ。
ちょっとミステリアス
裁判の話だけど、ちょっとミステリアス&笑いあり。パクヒョンシク人気で、お昼の時間帯は立見が出てましたよ。脚本がしっかりしてるから安心して見れました。 映像も綺麗だし、先行ってる感じします。
「十二人の怒れる男」のパクリですが
2008年に韓国で導入された国民参与裁判で実際に事件をベースに、陪審員に選ばれた8人の一般市民たちを描いた法廷ドラマ。
物語は陪審員8号役を中心に他の7名の心理が変化していくという完全な「十二人の怒れる男」のパクリですが、唯一違う点は韓国の裁判は、陪審審が「無罪」としても裁判官が「有罪」に変えることが可能ということをこの映画で初めて知りました。
まぁ映画としては、気楽に鑑賞すればそれなりに見ごたえ有りでした。
普通には面白いけど、、、
「怒れる12人の…」系の陪審員もののパターンそのままの展開。なので、普通には面白い。
ただ、突っ込みどころは満載。
セキュリティカードがないとどこにも入れないはずの建物の中で、一番セキュリティが厳しいであろう場所にはなぜか入れてしまうし、しかもそこには絶対にいるはずの監視員もいないとか、あり得ない展開が多過ぎ。
映画の中のK国は裁判も検察の取り調べも司法制度もとにかくいい加減過ぎだし、法律やルールよりも感情が優先されてしまうし、、、それらがすべて誇張されたフィクションであることを切に願いますわ。
「良くわかりません」
2008年より韓国で導入された国民参与裁判で、陪審員と判事が母親を殺害した男の有罪無罪を問うた実話をもとにした話。
本人の自供も有り、開廷前は有罪は確定で量刑を決めるだけと思われていた中で、8番目の陪審員が疑問を呈して裁判の流れが変わっていくストーリー。
当初選任された陪審員の一人がマスコミ関係者だったことから、急遽選ばれた近くにいた補欠候補だった適性があるとは思えない男が軸になるという惚けた始まりで、ちゃんとした法廷劇だけど堅苦しい空気感はなし。
いとこのビニーみたいなコメディではないけど、BGMもわざと軽妙にしていたし。
一見ただ決められない男にもみえた主人公の発言が徐々に賛同されて行く様子はなかなか痛快だし、最後にはちゃんと響くうまい流れで非常に面白かった。
裁判長の役の方の表情が終始絶妙だった。
陪審員制度に真摯に向き合った作品
実際に行われた陪審員裁判をもとにした映画。
日韓の司法に対する考え方の違いかもしれないが、共感しづらい部分もありました。
まず、法律のプロである裁判長が有罪の判決を陪審員の意見によりその場で無罪にするというのはフィクションかもしれないが、果たしてそれでいいのかという違和感が残りました。
また、陪審員裁判では無罪の率が通常の裁判の3倍であると素晴らしいこととして語られていたが、劇中でもムン・ソリがいっているとおり、心理的に有罪にはしづらいものだと思います。冤罪はもちろんあってはならないが、本当は有罪の人も含まれているのではないかとも思ってしまいました。
一方で、深夜に陪審員が現場検証をしたいと申し出たら、消防車まできて協力してくれるというのは、しっかりと民主主義が守られているんだなと感じました。あと本筋とは関係ないですが、陪審員裁判へのマスコミの注目度がすごい。それだけ人々の関心が高いということだと思うが韓国の人は意識が高いな感じました。
色々書きましたが映画としては、法廷ドラマでありながらも、被告人が本当に殺したのかというミステリー要素もあり楽しめました。あとムン・ソリの演技がよく、映画をよりよいものにしていると思いました。
"When in doubt, consider the defendant's interests" ユースティティア
2008年から韓国では、「国民参与裁判制度」が始まり、日本で言う裁判員制度とは似ているところもあり、似ていないところもあるが、一般の市民が裁判に参加することは基本同じと考えられる。
この映画の主題である母親殺しの裁判。日本では、昔、殺人罪のほかに独立して尊属殺人罪と言うものがあって、刑罰は、無期懲役と死刑しか存在していなかった。日本は、フランスの刑法を参考にしたらしいのだが、儒教を重んじる韓国は、刑の重さは推し量れるものと考えられる。
この映画のシナリオは、映画の題名通り、第8番目の陪審員に選ばれた発明家の青年ナムウ。初めて陪審員裁判という 裁判が民間人を前例のない方法で参加させたことにより、国民の注目を集めているため、キム・ジュンギョム裁判長(ムン・ソリ)には確かに多くの期待と圧力がかかっているが、彼女の終始一貫して冷静な冷淡ともいえる面持ちが、この映画を引き締めている。ただのコメディ色を前面に出した裁判劇には成り下がってはいない。
ある人が、こんなことをサイトに載せていた。シドニー・ルメット監督、ヘンリー・フォンダ主演の密室劇の金字塔映画「12人の怒れる男(1957)」を連想させる映画だと....シチュエーションや映画の中でのイベントがインスパイアされているところが散見するためか?
You said the law doesn't exist to punish people.
Would it be right to punish people without any standard?
They could be wrongfully charged!
To avoid punishing people unjustly and to set a standard,
you said that's the law.
被告人の真意がわかった時、最高裁判所やテレビドラマ「逃亡者(1963)」の冒頭のシーンでご登場のLady Justice ユースティティアが、掲げる「剣なき秤は無力、秤なき剣は暴力」不偏の人の罪と法の理念が象徴的に表現されている。
そうは言っても、後半のフラシュバックで描写された真相を知った時、涙腺が解放状態となっていた自分がいた。韓国映画恐るべし。
真剣に見ていた自分に対して、ご褒美のような1カットでクスっとできました。映画館では最後まで見てとはいえないぐらいのクスっと加減です。
Finally パチパチ
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