「優柔不断な男を通して女性の強さ美しさが映える。」グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇 林檎さんの映画レビュー(感想・評価)
優柔不断な男を通して女性の強さ美しさが映える。
出てくる女性キャラクターが多彩でとても良い。
優柔不断男・田島周二(大泉洋)とお金にがめつい担ぎ屋・永井キヌ子(小池栄子)の恋愛ものでもある。
舞台は見た事ないのですが小池さんは舞台にも出演されていたようですね。
この映画でのキヌ子の芝居、ちょっとガラ声で芝居していますが舞台ではどうだったのでしょうか。
キャラクター的にそうしたのかもしれませんがやっぱりちょっと違和感があり、自分としてはいらない味付けかなと感じました。
ただ、それ以外の部分であまりある好きな点があるのです。
いいなと感じた点。
・展開がループじゃないのがいい。
愛人が複数人いて別れを切り出すループにはなっておらず飽きない。展開が違うのも女側の思想やスタンスの違いによって引き起こされているのが好き。
・キヌ子の人柄がいい。
親に捨てられ少し(?)常識がなかったりガサツな面はあるけど、ただの金にがめつい女ではなく、ピュアな部分をもちあわせているのが好感もてます。キヌ子を好きになるきっかけに十分なる。
・田島のどうしようもないキャラ(性格)
部下の清川伸彦(濱田岳)に言うセリフ。
「しかし、女はもっと素晴らしい。俺には女の素晴らしいところ以外目に入らないんだよ!」
人間味というか二面性というか、人には隠しておきたい部分をぶちまける田島が好き。
・脇を固めるのはやっぱり松重さん
文豪・漆山連行(松重豊)
田島の妻を横取りしておいて
漆山「許してくれるよな。後腐れないよな」
田島「…」(あるに決まってんじゃん!)
漆山「そう言って貰えるとありがたいよ。よしっ、来週でもあたり飲もう」
で、最後の笑顔。もう最高です。
・田島とキヌ子が近づくシーン
キヌ子が乱闘騒ぎを起こし、田島が署に迎えにいく。そことそのあとの飯屋のシーン。
などなど。
※以下はかなりなネタバレなので本当にネタバレOKな人だけ読んでください。
田島が死んだってなった時に、あぁこれは夢オチじゃ無ければいいのにな、と思ったのですが(夢オチは裏切られた気持ちになるので好きじゃない)、
田島を偲ぶ会あたりで、あ、これは死んでないなと安心。
実は絹子と一緒になってるのかな?とも思ったのですが、そうではなく、強盗に殴られ一時的な記憶喪失になっており、死んだと思わせるミスリードがあるだけで、嘘ではない実際の時間の流れがそこにある。こういう作りは好きです。
ありきたりな展開でもあるのですが私はベタ好きなのでとても好きな展開でした。