「これぞ太宰」グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇 51さんの映画レビュー(感想・評価)
これぞ太宰
はじめはつまらないなあと思って観ていました。
複数の女と別れる展開も単純だし、大泉洋と小池栄子も深まらないなあと思いました。
でも、後半、二人に行き違いや事件が起き、暗澹たる空気が流れ、その後、周りの人間たちに破滅的な享楽が生まれてきたのを見たときにこれぞ太宰だと思いました。
去年の9月に「人間失格・・・太宰治と3人の女たち」を観たときには、映画で太宰を表現するのは無理だと思いました。太宰治が描く多面性を映画では表現できないなと思ったんです。
「強と弱」「清と汚」「富と貧」「優と劣」・・・
それが、この映画では、「男と女の心情」「それぞれの自分本位な言動」「世の中の変動」「金への執着」 それらとのどうしようもない絡み合いを、純粋で愚かな、そして単純な二人を通して描いていると思いました。
大泉洋と小池栄子もよかったです。
高校生の時、太宰を読み、人間の弱さ・甘え・逃避、世の中の弱者を許さないあり方を知り、「できないこと」を「できない」という太宰の小説に引き込まれていった自分を思い出しました。
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