映画大好きポンポさんのレビュー・感想・評価
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映画好きで、頑張っている人のため
これまで何かに夢中だった人も、そうでもなくて何も無い人も、何かに必死で頑張って、そしてそれぞれ幸せになれる、そんなスッキリハッピーな映画でした。しかも、エンドロールもダイジェストじゃ無く最後まで席を立たせない、上映時間はキッチリ90分w遊び心も満載です。
(追記)
家に帰って冷静になったので、良かった点を書き加えたいのですが――「誰もが上げるであろう、新人女優のヒロインが水溜まりをパシャってやってアハハと笑うシーンですが、普通、水溜まりを踏んで嫌がる人も居れば、このヒロインの様に楽しむ人も居る。楽しめる人は間違いなく良い人で、新人監督である主人公も、それを見抜いたという点で、映画の観客に主人公の才能を判りやすく判らせてくれる。しかも、その対比として水溜まりパシャを嫌そうに見ていたのが、あの金髪の主人公の友人の若手銀行マン。(それを観客の記憶に残してくれてるのは凄いのですが)もしかしたら、嫌な奴かと思ったけど、映画作りには避けて通れない費用の問題と対峙して、頭を下げて主人公を援護射撃してくれてて、しかも起死回生にクラウドファンディングという荒技を使う、正に今時の時事ネタを持ち出したのには、ほーっ!!と感動いたしました」っていうところが、とても上手く出来てたなあ、と感じ入った次第です。声優さん達の声もハマってるし、出来すぎのハッピーエンドもライトなアニメ作品だからこそ許される、見ればサクッと幸せになれる素晴らしい映画だったと思います。
過不足
まず冒頭、ポンポさんが持論である90分最強理論で名作『ニュー・シネマ・パラダイス』を軽く下げた時点で「ん?」って思った。
モヤっとしたが、まあ言わんとすることはギリわからないでもないので鑑賞続行。
主人公の同級生の銀行マンパート。ちょっと無理がないか? 銀行マンがそんなことしちゃあダメだろと思った。半沢直樹じゃあないんだから。
このシーンが来るまで「お仕事映画だなー」と思って観ていたので、わりと興ざめ。
そしてこの映画自体が冒頭の90分最強理論を意識してか「カット!はい、これでちょうど90分ね!」みたいなラストで終わるのだけど、上記の微妙だった銀行マンパート含めて「ジャスト90分!」って言われても、説得力に欠けてしまう。ポンポさんが冒頭で言っていた90分最強理論やポンポさん自身のカリスマ性がかなり薄れてしまっていないか。私だったら銀行マンパートはそれこそ編集でカットする。
あと作品全体を通して、「イケてない人はその分だけ光るものを持っている」みたいなことが言いたいのだろうけど、良い映画撮ることとそれは果たして本当に関係あるんですかねぇって思っちゃいました。
いやまあ、あるっちゃあるのかもしれないけど、そこをちゃんとお仕事映画ならではのロジカルでこちらが納得出来るように描けていたら良かったなぁと。
総評。90分最強理論とは言うわりに、「過不足」の三文字が過ぎる映画でした。
映画の良さとは
最後のオチや、映画全体のカット割り、構成を見るにこの映画(映画大好きポンポさん)自体が主人公の作品というオチなのかな
そう考えると劇中の映画「MARINE」にシンパシーを感じる主人公たちと、この映画を観ている私たちが重なってくる
主人公の監督作品「MARINE」における最後のピースが観る人、個々人の自己投影だったように、本作「映画大好きポンポさん」も観た人が何を感じ、何を思うかで完結する映画だと思う
そういう映画の良さをポップな語り口で描いた新鮮な映画だった
それで90分なのね。
昔は映画は90分くらいだったんだけどね。
最近の映画は2時間越えがザラだからよっぽど面白くないとなかなか見る気が起こらないのは確か。でも大好きな映画は3時間くらいあってもいいのでその点はジーンと同じかな😆
それは置いておいて、なんで舞台が海外なのだろうか?なんか日本的要素が多くて何とも違和感があるな。
この映画なんとなく面白いのだけど、ジーンといいナタリーといいなんの壁もなくサラッと成功してしまう。普通なら映画監督になるための道のりだったり、このマイスターという映画を撮るための苦労などが物語の軸になっていくのだけれど、そういうものがなく作品を生み出す苦労が全然見えない。
しかし今回のような流れでこの「映画大好きぽんぽさん」を進めていくのであれば「マイスター」という映画は上っ面だけの物語ではなく、しっかりとしたストーリーを用意して「映画大好きポンポさん」の中に「マイスター」という映画を完璧に用意するべきだった。
そうすることによってマイスターという映画でも感動を与えつつ、さらにジーンの映画作りの苦しみと楽しさいうものが伝わったのではないかと思った。やっぱり物語は紆余曲折があってこそ人は共感したり怒ったり泣いたりするものだ。
特に苦労もない物語は残らないだろうなあと。
そういえばポンポさんは主役じゃないし、映画大好きなのはジーンなんじゃないかと思うんだけど何でそんなタイトル?
これは俺のための映画だ
この映画の一番良いところは、映画の尺が90分なところ。
2021年の公開時、映画ファンの間ではめちゃくちゃに評判が高かった作品。スケジュールの都合で劇場で観ることが出来ず、なかなかサブスク解禁もされないし近所のTSUTAYAにもDVDが並ばなかったため、観たくても観れない状態が続いていました。この度ようやくネットフリックスで配信が開始されましたので、ずいぶん遅れての鑑賞です。
結論ですが、めちゃくちゃ良かった!!!!!!
これでもかと映画的カタルシスを詰め込み、映画あるあるを詰め込み、アニメでしかできない映像演出を詰め込んだ本作。2021年に観ていれば、年間ベストに名を挙げていたかもしれないほどの「映画好きのための映画」でした。キャラクター造形が萌えアニメっぽいので敬遠する人も少なからずいるかと思いますが、映画好きなら観ておいて損は無い名作です。
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天才的映画プロデューサーのポンポさん(小原好美)のアシスタントとして働くジーン(清水尋也)は、映画監督に憧れながらも、自分には無理だと諦めかけていた。そんな中、映画の予告編を製作するように指示されたジーンは、予告編製作の中で映画作りの楽しさに目覚めていく。予告編の出来が認められたジーンは、ポンポさんの新作映画『MEISTER』の監督に任命される。突然の監督就任で、ジーンは映画作りに奔走することとなる。
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映画制作を描いた映画というのは意外と多くて、松本壮史監督作品『サマーフィルムにのって』とか、私は未鑑賞ですが1963年製作のフィデリコ・フェリーニ監督作品『8 1/2』とか。
劇中に登場する映画あるあるとか、映画とはこうあるべきみたいな格言とか。そういうのをしっかり有言実行していてクオリティが高くて楽しめます。キャラクターの言葉のパンチラインや、王道だけど盛り上がる映画的カタルシスを感じる展開。映画好きがハマる映画だったと思います。
本作は映画制作の過程や主人公ジーンの成長や葛藤がしっかり描かれているのが素晴らしかったと思います。特に印象に残ったのが、最初は映画監督に指名されてタジタジだったジーンが、同じく映画初出演で緊張しているナタリーに対していった台詞ですね。「正直逃げたいけど、今まで逃げて逃げてここにたどり着いた。これ以上逃げられない。」「死んでも映画を完成させる」という彼の言葉から、背水の陣で映画制作に挑む彼の覚悟が見て取れます。
そして、本作のクライマックスにあたる編集シーン。編集というものが、ここまで心身を削る作業だと言うことは知りませんでした。でもよく考えれば、映画制作の裏話なんかを映画パンフレットなんかで読むと、撮影のクランクアップから映画の公開まで一年以上かけている映画が結構あるので、その期間を映画編集に費やしていると考えると、映画制作のメインは編集と言っても差し支えないんじゃないかと感じます。そんな映画制作の編集作業をここまでスタイリッシュに且つヘヴィーに描けているのは素晴らしかったですね。特に、映画撮影の合間にみんなで意見を出し合って奇跡的に撮影できた嵐のシーンや、ナタリーが初めて撮影したシーンを容赦なくカットする鬼気迫るジーンの描写は本当に素晴らしかった。
全編通して無駄がなくブラッシュアップされた映画でした。映画がこんなに洗練されてスタイリッシュなのに長々とレビュー書くのもよろしくないので、これくらいにしときたいと思います。オススメです!!
孤立から独立への成長過程
主軸のドラマと、劇中劇の物語が重なり合うメタ構造。さらにコンサートのオーディエンスと、Meisterの観客の姿が、映画鑑賞中の自分自身と重なり、どんどん映画の世界に引き込まれる。
独唱曲である「アリア」を仕上げるには、多くのものを切り捨てなければならない。しかし、歌手一人だけではオペラは成立しない。様々な裏方仕事、オーディエンス、出資者など、多くの支えがあって成立している。
一本の映画が完成するまでの過程と、一人の少年が自立するまでの姿を同時に観ることで、「自分の人生をどのように描くのか、どのように編集していくのか」深く考えさせられる。
編集作業とジーンの格闘シーン、かっこ良すぎる。
絵柄からは想像出来ない
映画作りの大変さ。
スポンサー、お金、人、、全てをクリアしても失敗することがある。
ポンポさんが優秀だったから上手くいったけど、ロスト・イン・ラ・マンチャのような
作品もある。
多分そっちの方が多いのではないのか?
折角撮った映像を削る苦しみも。
全てを背負って撮る。
それでも映画を撮るのをやめられない。
いやぁ映画って良いですね。
映画製作というフィルムを通したオタク・サブカル・クリエイター賛歌、あるいは鎮魂歌
端的に面白かった。情熱のある映画だった。
一部登場人物がコミュ障過ぎる表現で序盤不安にさせるが、最終的には問題なかった。
(ただしメイン女優役の声優のカタコト具合は流石にしんどかったが)
お話の随所に製作者の職業クリエイターを思わせるこだわりのフレーズが随所にあり、
セリフ回しの面白さ・深みに一役買っている。
主人公が選ばれた理由が、社会から追い詰められたオタクだから、というのが既にアニメーション(あるいは漫画)業界のクリエイターそのものなのではないかと思う。
そうやって追い詰められて作るものこそ真のクリエイティブだと、そういったお話なわけだが、
自分が社会から切り離されたように、映画を編集(カット)をする場面なんか、製作者の思いが詰まっているセリフなのではないかと思う。
クリエイティブの業界の周辺にいると、こういった人生の何かを切り捨てて仕事をやっているという人間は少なからずいるわけだが、特に夢とか希望もなく普通に生活しているサラリーマンからすると、この辺りの表現は全然ピンと来ないかもしれない。
自分の好きなものの為に、何かしらを犠牲にして挑戦している人にとっては、共感を得やすい内容なんじゃないかと思う。
そういった”何かを捨てた”人たち(職業としてだけではなく、割り切った趣味をやっている人たち)が、少し甘い夢を見ても良いじゃないっていう、そういう映画。
サブカル好きによるサブカル好きの為の映画。
本編最後の授賞式で、気に入ってる場面とかい本当にどうしようもない質問(少なくとも本編を最後まで見たら、72時間分の90分なわけだから全部気に入ってるに決まっているという愚問)に対して、
「90分なところですかね」というシニカルで職業クリエイターらしい答えをしているところがまた印象深くて良い。
自我の希薄な主人公
目上の人の意見を妄信して作った映画が大成功してしまった主人公。その映画で気に入ったところはといえば、「上映時間が90分」であること。この主人公には決して明るい未来は訪れないのだと実感させられる。
主人公は現場で見聞きしたあれこれを愛用のノートにビッシリ書き込んでいる。 それを水溜まりに落としてしまえば、新しいものに全部書き写すほどの偏執ぶり。彼にとってはあのノートが御守り/聖書なんだろう。
ポンポさんや周りの人々の意見をすべて『正しい事』として受け入れてしまうのも良くない癖だ。ペーターゼンさんが言うように「映画の撮り方に正解なんぞ無い」わけで、映画人ごとに意見の食い違いがあって然るべし。だが主人公は他人に一切の反論をしない。身の回りに目上の人間しかいないことも一因だけど、本音を言ってしまえば主人公にとってそんな状況が何よりも心地よいのだ。
主人公が自己防衛のために閉じこもっている殻のようなものが、打破すべき障害ではなく肯定的に描かれているのがこの作品の特徴。ラストシーンで自ら「一番気に入ってるのは、上映時間が90分ってところです」と言っており、この物語を通じて主人公の心の殻が一層分厚くなってしまっている。《ニュー・シネマ・パラダイス》の立つ瀬がないよ。
主人公が業界に飲み込まれていく様をただただ見届ける、なんとも苦しい作品です。
大好きな映画の中に自分を見出だして。夢を実現させて
公開時はビジュアルから萌えキャラ風の女の子が主演の映画製作現場を題材にしたアニメーション映画…くらいにしか漠然と知らず。
しかし、絶賛の声、声、声!
いや~確かに面白かった!
テンポ良く、笑えて、苦楽や熱いものも込み上げて。
そしてポンポさんの命令通り、尺は約90分!
映画会社“ペーターゼンフィルム”でプロデューサーのアシスタントとして働く青年、ジーン。
性格はうじうじ、おどおど、どん臭い。が、映画への知識、愛は誰にも負けない。
今撮影しているのは、巨大化したタコやカニに水着姿が眩しいセクシー美女が銃をブッ放して戦うB級モンパニ・アクション『マリーン』。
監督はB級映画を得意とするコルベット、主演は人気美人女優ミスティア。
何だかB級映画専門の某映画会社みたいな…。
ジーンは働きながら必死にお勉強。
そこへ、来ったぞ~!
映画製作現場にふらりと紛れ込んだ女の子。
皆と親しげ。誰かの子…?
でも、皆がですます調。
見た目は子供、実は彼女、
このペーターゼンフィルムの超敏腕プロデューサー。
手掛けているのはB級映画ばかりだが、しっかりと観客を満足させてくれるもの。
さらに、監督や俳優を見出だす目利き。
あのB級映画の某帝王を彷彿させる。
とある理由から、手掛ける作品の尺は必ず90分。
その理由となった祖父。
祖父は、もう引退した伝説の映画プロデューサー。
才能は受け継がれた。彼女に。
ポンポさん!
プロデューサーとしては超やり手だが、性格は陽気。ジーンは彼女のアシスタントで、振り回される毎日…。
ある日ジーンは、『マリーン』の予告編を任される。
映画の魅力をほんの僅かな時間で伝えなきゃいけないプレッシャー。でも、編集が楽しい!
なかなかユニークな予告編となり、これがポンポさんのお眼鏡に掛かった事から…。
ポンポさんの新作脚本『マイスター』。
B級映画が多いポンポさんにしては珍しいヒューマン・ドラマ。
世界的指揮者、ダルベール。が、行き詰まり、失墜。赴いたスイスの大自然の地で、一人の少女リリーと出会い…。
…という、筋は単純だが、魅力的な二人の登場人物、引き込まれるもの。
さらにジーンは一番好きなシーンを脚本から挙げる。
予告編の巧さ、脚本の深い読み解きから、ジーンはポンポさんが直々書いた脚本の監督にまさかまさかの大抜擢される事に。
え~~~~~ッ!? 僕が監督デビュー!?
ポンポさんの鶴の一声。
もうやるっきゃない。
さらにジーンの大プレッシャーとなったのは、ダルベール役。
6度のニャカデミー賞に輝き、今回10年ぶりに映画カムバックを果たすレジェンド名優、マーティン・ブラドッグ。(マーロン・ブランド×長らく引退状態のジャック・ニコルソンみたいな…?)
肝心のもう一人の主演。リリー役は…?
そこへ現れた女の子。
彼女を見て、ジーンは身体中に電撃が走ったようなビビッと感じる。
そこに、“リリー”がいた。
ポンポさんも彼女を当て書きして脚本を書いたという。
田舎町出身。ジーンと同じく映画好き。
映画好きにしてくれたおばあちゃんとの約束を果たそうと、映画女優になる事が夢に。
幾つものバイトをしながらオーディション受けるも、全敗。
今回もポンポさんから「地味!」と一度は落とされたが、まさかの再採用…!
夢への扉が開いた。
本作はジーンと彼女=ナタリーの奮闘サクセス・ストーリーでもある。
一行はまずロケでスイスへ。
向かう飛行機内に、銀行マンの青年。ジーンを知ってる風…。後の伏線。
スイスの大自然で遂にジーン初監督の撮影が始まった。超プレッシャー。
マーティン、さすがの名演!
しかし驚くべきは、ナタリー。本当にそこに、リリーがいた。
順調な撮影だったが、ヤギ小屋倒壊や天候悪化などトラブルも。
が、ジーンが機転を利かして撮影出来た。
皆がアイデアを出して、脚本に無いシーンも撮影。
文字通り、映画は皆で作る。
そして、この作品の要。ジーンも挙げた一番好きなシーンの撮影。
歌っているリリーが振り向き、ダルベールが音楽への情熱を取り戻す。
撮れた! このシーンを撮る為に、ここに来た。
この映画は成功するとも確信している。
どんな映画にも心に残る名演、ワンシーンがある。
今思い付いたのは…
『生きる』で公園のブランコに乗る志村喬。
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』で圧倒的インパクトのダニエル・デイ=ルイス。
『2001年宇宙の旅』のクラシック音楽に乗せての宇宙遊泳。
『スター・ウォーズ EP4』で二つの赤い太陽を見つめるルーク。
『殺人の追憶』の衝撃の“普通”のラストシーン。
『ゴジラ』で山の頂きから顔を現すゴジラ。
…もう挙げたらキリがない。
それぞれがすでに名作だが、その秀でた演技、シーンがさらに伝説にさせる。
撮影は終了。
が、映画はまだ完成していない。と言うか、監督の仕事はこれから。
そう、編集。
映画製作の格言。映画を殺すも、生かすも、編集次第。
楽しい楽しい編集の時間!…の筈だった。
莫大な撮影フィルム。それをポンポさん命令で90分に収めなければいけない。
最初はいい感じで繋いでいたが…、
初監督。あのシーンこのシーン、愛着あり、切れない。
それに、ストーリー上はみ出したりもしない。
でも、どうやっても2時間を超えてしまう。
まだまだ切らないと。
何処を…?
また最初から。何度も何度もやり直し。
次第にノイローゼ気味に…。
映画製作題材の映画は“撮影”が多い。
本作も前半は撮影だが、後半は編集にピックアップされているのが珍しい。
スターが演技する華やかな撮影と比べ、一見地味な編集。時には一年以上も編集室に籠ってフィルムと苦闘する監督や編集マンもいるという。
しかしここで本当に、映画は“生まれる”。
そして本作の面白い所は、ジーンの死ぬほどの編集作業に、自らの人生、映画への思い、
さらには『マイスター』のストーリー=ダルベールの再起も絡めて、これが実に巧い!
映像表現も見事!
ジーンにとっては、その映画の中に自分はいるか。
ダルベールにとっては、その音楽の中にアリアはあるか。
本作、メモしたくなるような言葉も多々。これから映画製作を目指す若者たちには是非…いや、絶対に見て欲しい!
ポンポさんの祖父ペーターゼンの助言を得、編集作業を再開したジーン。
気付く。足りない事を。つまり、
追加撮影。
それをやるという事は、携わったキャスト/スタッフをもう一度集めるという事。
その調製や何よりお金。
それがどんなに大変な事か。
それでもどうしても撮りたいシーンがある!
困った奴…。けど、その心意気や良し!
監督はこれくらいワガママでないと。黒澤明や宮崎駿やスタンリー・キューブリックなんて…。
でも、融資を何処から…?
思わぬ人物が協力を申し出てくる。
ニャリウッド銀行勤めの青年、アラン。
実は、ハイスクール時代のジーンの同級生。
ハイスクール時代、決して友達ではなかった。
アランは彼女や友達に囲まれ青春を謳歌し、ジーンは映画が友達だけの暗い青春時代。
そんなジーンをどん引きすらしていた。
銀行マンとなった今、仕事に行き詰まり。社会人となって、自分の無能さを知る。
そんな時、ジーンと再会。映画監督となって夢を実現させた彼に感嘆する。
仕事を辞めようとしていた時、ジーンの映画の融資の話を知る。
尽力する。
彼は夢を実現させた。
その夢を潰させたくない。
人の夢の為にあるのが、銀行。
リスクはあるかもしれない。が、
今の自分に出来るのはこれだけ。
自分も夢にーーー。
多少気になった点も。
幾ら何でもニャカデミー賞に輝いたり、都合のいい展開が多い。(ジーン監督、次回作大丈夫…?)
ファンタジーみたいに本当に悪い奴も不在。銀行の上司も最初はヤな奴だったが、協力してくれたし。
それと、理由はあるにせよ90分にやたらと拘るポンポさん。長い映画が氾濫する昨今、尺が短い作品は有難いが(例えばつい最近観たばかりの『ヴェノム~』とか)、ジーンの言う長い映画に浸っていたいというのも分かる。つまらない映画だったら苦痛だけど…。
どうしても90分に収まり切れず2時間になって、でもポンポさんがそれを気に入って90分以上の映画も…でも良かったんじゃないかな。
でも、あのラストの台詞を言わせたかったのかな…?
劇中さながら、平尾隆之監督やスタッフの素晴らしい仕事ぶり。
生き生きとした魅力的なキャラ。生を吹き込んだボイス・キャスト。
『マイスター』試写を見終えたポンポさんと同じ心情。
この映画、大好きだ。
映画監督の仕事に奮闘する青年ジーンの成長物語
連想する映画は『カメラを止めるな!』か。映画作品がメタ構造になっていて映画内で映画を作っている人たちの苦労を描いている。テーマが映画でなくとも何か現実社会における仕事現場で頑張る人たちを描く作品はどれもが視聴者に仕事や学業へのモチベーションを与えてくれるものであり、この作品もそうである。『幸福は創造の敵。彼らにクリエイターとしての資格なし。』うんぬん、というポンポさんの言葉は面白かった。作品全体を通して、人物の深堀りがあまりできていないのか、人物への共感、没入感はそこまで無かった。しかし、人に勇気を与えるようなテーマ性は悪くないので、見て損は無い作品だと思う。原作のマンガを読みたくなった。
ぼくは隈、隈、隈
タイトルロールはポンポネット嬢だが、実際はずっと目の下の隈が取れない制作助手のジーン君が主人公で、助監督経験もないのにあれよあれよという間に大傑作を撮ってしまう夢物語。
ポンポさんの作画はキッチュなのに、マーティンとかアランとかそれぞれタッチがバラバラでまるで統一感がない。みなもと太郎とか赤塚不二夫の漫画にもそういう例はあるけど、あれはギャグとしてやっているので。
劇中撮っている映画も陳腐なテーマで、私ならたぶん見に行かない。
映画を生かすも殺すも編集次第というのは正にそのとおりで、テンポのちぐはぐな映画は見るに耐えない。編集者ではクリント・イーストウッド監督の映画を多く担当しているジョエル・コックスが良い。ちなみに、編集者出身で監督になった人にハル・アシュビーがいる。
この作品に満点付けれないアニメマニア、映マニアはいるのか?
この作品をひとに勧められてまずネックになるのがこのキャラクターである。このエロアニオタアニメ風主人公にはほぼ誰に勧めても二の足を踏む。絵が嫌いだと。しかしそれが10分過ぎるとそうでないことが分かってくる作者?監督?によるそれが仕掛けであると・・。次にはアニメの動きについてである。最初明らかにキャラは秒6~8コマの動きで質の悪いテレビアニメを見せられてる錯覚に陥る。しかしそれも登場人物が増えるにしたがってその違いがこの画面でのキャラの重要度を図るバローメーターになり最後は普通のコマ12~18辺りまで伸びる。背景も手描直撮り背景からデジタル背景まで場面場面で記号的に使われここでアニメにおける「光」もしくは「光源」の取り扱いの歴史が埋め込まれている。金田伊功から大友、庵野を経て藍に至るまで。特に光と影の表現はフォービズムに強いリスペクトが見られ、それは銀行の壁面一面に多くのマチスが飾られていることからもその意識がよくわかる。銀行の一場面と言えばこれも素晴らしくネットの生配信と言う映画の対極とクラウドファンディングを組み合わせたこれも従来の映画作りとは似ても似つかないプライベートメッソッドと大手銀行の組み合わせ。映画のエピソでは小津組、黒澤組の違いを揶揄したり編集の際のデジタル編集とアナログ編集の違いによる映画製作の苦悩を描いたりもうこれ以上ない盛りだくさんなのである。後音楽についてもオープニングはクラシックなミュージカル風に、エンディングはヒップホップ風のMTVぽく…そして最後映画の長さについて90分を主張していたにもかかわらずこの作品は2時間近くある全く最後の最後まで退屈することなく90分以下にすら感じる面白さを観客に惜しげもなく提供している。こんな映画は見たことがない。満点!!!
私は、あなたの少年の日の心の中にいた青春の幻影…。ラ・ラ・ランドで巻き起こる夢追い人たちの痛烈なセッション🎞
映画の都「ニャリウッド」で活躍するプロデューサー、ポンポさんの下で働くアシスタントのジーンを中心に、映画制作に情熱を掲げる人々の姿を描く群像劇アニメーション。
主人公ジーンの声を演じるのは『ソロモンの偽証』や『ちはやふる』シリーズの清水尋也。
映画制作に命を賭ける人々のサクセス・ストーリー。
もしこれが実写映画なら、あまりにも現実離れしたシナリオにゲンナリしていただろう。
初監督作品でいきなりニャカデミー賞って…💦
しかもジーンくん、短編映画どころか自主制作映画すら撮ったことが無いっぽいし、脚本を書いた経験すらない。
初監督作品でボーンっ!と跳ねた、しかも映画オタクの監督といえばタランティーノが思い浮かぶ。
でも、タラちゃんだって自主制作はしていたし、脚本だって書いていた。
映画の予告編を作っただけの若者に、ウン千万ドルの費用が掛かるであろう映画の監督を任せるなんて、あまりにもあり得なさ過ぎる。
本来ならこういう主人公を甘やかすような設定&展開は大きく作品の評価を損ねるんだけど、本作はあくまでアニメーション。
しかも大物プロデューサーが子どもという、いかにも漫画らしい荒唐無稽さ。これが映画全体のリアリティ・ラインをグッと下げているので、展開のあり得なさについて辟易することはない。
本作は映画の中で映画を制作するという、一種のジャンル映画。
同ジャンルでは『カメラを止めるな!』のヒットが記憶に新しい。
このジャンルの映画において、制作陣のキャラクターが持つ情熱&楽しいという気持ちが観客に伝われば大合格。
その点、本作はポンポさんやジーン監督、ナタリーやマーティンと言った役者たち、そして裏方のスタッフまでイキイキとした情熱に溢れており、何より全員楽しんでいるということがヒシヒシと伝わってくる。もうこれだけで合格〜💮
しかも本作では「編集」という一見地味な作業をクローズアップして見せてくれる。
編集こそが映画制作のキモであるという表明はなかなかにフレッシュ。映像をカットする時のアニメ映えする表現も含めて、この映画でしか味わえない旨味になっている。
このような、その映画だけが持つチャームを味わえるというだけで、本作を鑑賞する価値は十分にある。
おそらく本作の主人公ジーンのモデルは、映画監督デイミアン・チャゼル。
史上最年少となる32歳でアカデミー賞を制した、現代のハリウッドを牽引する存在の一人。
彼のプロ2作目となる長編監督作品『ラ・ラ・ランド』は、史上最多となる13部門でのノミネートを果たしており、監督賞や主演女優賞を含む6部門を制覇した。
…こうやって書き上げるだけでやべー奴なのがわかる。けど、ジーン君は初監督&20代での監督賞受賞だもんなぁ。やっぱりちょっと盛りすぎてるよなぁ。
チャゼルが監督した長編作品は全部で3作品。
その全てに共通しているのが、「夢を追うものは、その他一切の幸福を切り捨てなければならない」という姿勢。
ジャズマン、若手女優、宇宙飛行士と形は変わるものの、全てこのことが描かれている。
これはもう、そのまんまこの映画のテーマに共通している。
チャゼル作品における徹底した幸福の切り捨てに比べると、本作の切り捨て方はちょっと甘い。
若手女優のナタリーといい感じになってるし、周囲の人間は悉く善人ばっかり。
最後までミューズであるポンポさんの庇護下にあるという状況は変わらなかったわけだし、「切る」という本作全体を貫くキーワードに対してのアンサーがちょっと弱いのは気になった。
ビジュアル面はいかにも今風なアニメと言った感じ。
誰が言っていたのか忘れたけど、キャラクターの輪郭線に蛍光線を入れると、途端にそのアニメは現代的でオシャレになるらしい。
本作にもキャラの輪郭線に蛍光カラーがされ気なく足されている。
だからこそ、ちょっとオタクっぽくも感じるロリ系のキャラデザなのに、そこはかとないオシャレ感が漂っていた訳ですね。
クオリティに問題点はないが、個人的には今ひとつハマらず。
要因は3つ。
①ここぞという見せ場でJ-popを高らかに流す演出がイモっぽい。
庵野秀明や新海誠はこれが上手いんだけど、本作は今一つ上手くいっていなかった。
銀行員のプレゼンシーンと、ジーンがバッサバッサと映像を編集するシーンの2つでこの演出が行われていた。
『シン・エヴァ』のように、ここぞというときの一回だけならいいんだけど、これが複数回使用されていると、モッタリとした鈍重さを感じてしまう。
特に銀行のシーンはなんかメガバンクのCMを観ているような気がして、一気に冷めてしまった。
②銀行の融資がどうたらこうたらのシーン、全部要らん。
原作を読んでいないからわからなかったのだが、ジーンの元クラスメイトであるアランは映画オリジナルのキャラクターらしい。
通りで、全体の流れの中で銀行のシークエンスだけが浮いているように感じたわけだ。
ジーンが追加撮影をポンポさんにお願いするシーン。
土下座をしてまで意思を貫くその漢気や良し!
…なんだけど、そのあと映画の流れが止まってしまう。
90分というタイトなランタイムこそが本作のキモ。
しかし、個人的にはこれがかなり長く感じた。
その原因は、この融資するかしないかで時間を割いたせいだと思う。
ここまるまるカットしちゃえば良いのに。
大体あんなプレゼンダメだろ。ほとんど脅迫じゃん。
あれが良しとされる展開は、リアリティ・ラインの低い作品とはいえ流石に気になってしまった。
③本作で提示される映画論がちょっと押し付けがましい。
個人的に120分以内のランタイムこそが至上という意見には賛成。映画を観始める前に必ずランタイムを調べるのだが、その時間が120分を超えているとウゲッ🤢ってなる。
自分の考える至高の上映時間は100分!何故なら『カリオストロの城』の上映時間がこれだから。これより短いと物足りないし、これより長いとうんざりしちゃう。
とはいえ、これは勿論ジャンルや監督によって変わる。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』なんて180分ですら足らんと思ったし、来年公開予定の宮崎駿の新作ならたとえ上映時間が300分だとしても喜んで鑑賞する。
現実世界に満足している奴はクリエイターの資質がない、という意見もまぁわかるんだけど、あんまりこういうレッテルを貼るのは好きじゃないなぁ。
色んな奴が色んな作品を作るから業界全体が盛り上がるのであって、リア充じゃ碌なもんは作れないという閉鎖的な考えにはうーむ…と思ってしまう。
この理論だと愛妻家や子煩悩なクリエイターは、全員クズだということになるような。
疑問や葛藤を抱かない人間ではクリエイターとしてはスカだと思うが、それはリア充かどうかとは関係ないし…。
これはポンポさんというキャラクターの意見であり、これが絶対の正解だと提示しているわけではない。
とはいえ、どことなく説教臭さを感じるのはポンポさんの対立軸となるキャラクターがいないからだろう。
おそらくポンポさんは原作者の意見を代弁する存在であり、それが透けて見えるからなんか嫌な感じがするんだろうなぁ…とおもう。
長々と書いたけど、何度もグッと涙が込み上げてくる場面もあった。
やはり夢に向かって邁進する若者映画は心に沁みる。
特にナタリーの直向きさにはやられた!…まぁこの程度の演技で主演女優賞とっちゃダメだろとか思ったけど。
ポンポさんはジーンにとって、映画が具現化したような存在。
ジーンから彼女に向けられる想いは恋愛感情とは違う。
それはもっとプラトニックで、映画に逃避していた少年の日を思い起こさせる憧憬のようなもの。
だからこそ、映画を逃避ではなく現実世界で戦うための武器としたジーンの手の中から、ポンポさんは飛び去る。
メーテルやハルハラ・ハル子など、少年を導き独り立ち出来るようにするも、最後は颯爽と立ち去ってゆく、というアニメ・キャラクターはベタといえばベタだが、やはり必要な存在ですねえ🚂💭💭💭
ジーンはポンポさんの為だけに「MEISTER」を作り上げた。大衆に受けるかどうか、金が儲かるがどうかなどは完全に度外視。
だからこそ、この映画が大ヒットするという展開にはやっぱり疑問が残る。
どんな映画を観ても満足できなかったポンポさんが満足したということは、この映画はどんな名作やヒット作とも違うということ。
であれば、そんな作品が大衆に受け入れられるとは思えない。
世間からはそっぽを向かれるが、ポンポさんにだけは突き刺さった、という展開の方が物語上納得がいくんだけどな…。
いろいろとハマらないところもあったが、おそらくクリエイターや夢を追う若者はきっと大好物な映画!
一見の価値はあり!
面白いけど・・・飯テロ映画です。
映画の原版である膨大なフィルムを、如何に切って繋げて90分の枠に
落とし込むかの制作風景をまとめた映画です。
その点で見ると面白いです。
・・・が、実は視点を変えて見ると、常時気持ち悪い映画になります。
それが「(確信)飯テロ」です。
とにかくいろんな場面で「高カロリードーナツ(デカ盛り)」が登場し、
+「コーラ20本以上」+「クリームたっぷりイチゴケーキ」が
さも当然のように追加され、挙句3日間不眠不休をして・・・
ジーン君は『病院送り⇒入院』となりました。
思わず心の中で「当然だろ!!」って突っ込んでしまいました。
せっかく映画当たり屋CHのヨッシーさんがおススメしていたので期待していた
のですが、「飯テロ要素」で個人的には普通です。
頭を空っぽにして楽しむ映画ですね。
「人生Best1かも」
今年40本目。
評判が凄い良かったので行きたかった作品。
「映画ってこう作るんだ」
「自分には映画しかない」
「全てを切り捨て映画を作る」
響きました。人生Best1かも。
確りと映画の製作を描いているスマッシュヒットな作品です。
以前から気になっていたのと、観た人の評価が高い事もあり、タイミングが合わなかったんですがやっと鑑賞しました。
で、感想はと言うと、うん。結構面白い。
大傑作!とまでは行かなくても、映画の製作工程を丹念に描かれていて、アニメーションの特性を活かしながら確りと「見せる」事を意識されています。
原作ありきの作品なので、ビジュアルはコメディチックですが、内容は結構シリアス。
ビジュアルで少し損をしている様にも感じますが、観るとそのギャップさにやられる感じが良いですね♪
年齢不詳で敏腕映画プロデューサーのポンポさんが主役かと思いきや、確りと縁の下の力持ち的に扮しているのが良い。また主にB級映画をプロデュースしていると言うのも素敵♪
ポンポさんのアシスタントで「目の輝きがない」ジーンが一応主役で、監督に抜擢され、様々な人達の力を借り、作品を作り上げていき、その間にアクシデントもありでテンポも良い。
ただ、確りと描かれている割に「ん?」と思うところもあったりします。
ポンポさんの下でアシスタントとして働きながら、映画監督を目指しているジーンが予告編の編集を任されてから、新作映画の監督に大抜擢されるまでの行程がちょっと早過ぎ。
プロデューサーのアシスタントなのでAPではありますが、監督になる行程は助監督から始まるかと思うんですが、それもすっ飛ばしていきなり監督ってどうなんでしょうか?
実績もない者がプロデューサーの肝いりで監督に抜擢はかなり周囲との軋轢を生むと思うんですよね。また周りの手助けがあったにしても、撮影がサクサクと進むのを見ると「映画好きと言うだけでなんでも対応出来るようにも感じるし、映画関係者は殆どが映画大好きな人たちじゃね?」と思うのは野暮なんですかねw
また、監督に抜擢された途端に帽子を被り出すのも、急に色気が着いた感じでなんか鼻につきますw
それと同じようなのがヒロインに抜擢されたナタリーにもなんだかな〜な感じがする。
女優を目指して日夜奮闘しているとは言え、上京してからアルバイトが週7日で演技レッスンは2週間に1回。と言うのは少な過ぎて「ホントに女優になる気あるの?」と言いたくなるw
生活の為にアルバイトに明け暮れると言うのはダメではないが、「演技レッスンはほぼ毎日でレッスン日を稼ぐ為に寝る間を惜しんでアルバイトと両立している」と嘘でも言って欲しかったかな。
ポンポさんの当て書きでヒロインに選ばれたにしても、その理由があまりにも不明瞭。
またミスティアの付き人として演技の勉強をさせるにしても、付き人としての責務を果たしていない感じでちょっと足手まといな感じもチラホラw
後半の活躍がちょっとフェードアウト気味なのも気になるw
ジーンが編集作業に苦戦し、追加撮影を言い出してからが怒涛の展開になって面白いんですが、全体的に映画業界の闇とかアクの強さとかが少ないし、みんな良い人ばかり。
なので、この辺りがどうにも学生演劇的なノリに感じるんですよね。
もう少し、ワガママでアクが強くても、個性的で映画の才能に溢れたキャラがいたら良かったかなと思います。
ホンワカした絵柄に口当たりはまろやかでも、セリフの一つ一つは名言や金言が多く、色々と突き刺さるだけに惜しい。
俳優をキャスティングしているのもそんなに気にならないが、本職の声優とのちょっと演技の温度感的な差は感じるかな。
映画を観る中で色々と知らない事や知っていたとしても気づかない事もあるので、この作品で映画を観る楽しさを倍増出来ると思うだけにちょっと惜しいのが惜しいんですが、個人的には割と「当たり」な作品かと。
映画が好きで、映画製作に興味のある方なら、是非如何でしょうか?
誰のために作る。誰のために働く。その中に君はいるのか。
まずよく出来た映画だった。先日観たシンエヴァとの比較は適切じゃないかも知れないが、シンエヴァと同じ位良い映画だったと思う。
90分位の上映時間とは知ってたがそこにも意味があるとは思わなかった。なのでこのストーリーで90分以上はあり得ない。90分縛りでよく構成された映画だと思った。ホントに90分で終わったのかと思うくらい濃密な鑑賞体験だった。155分の映画と同じ位の充実感があった。
その要因の1つは劇中映画の充実感だったかも知れない。
アニメだから出来る表現が劇中映画と本編をうまく融合させていたし効果的だった。何に感情移入しているのかわからなくなる妙な効果が面白かったと思う。
後半に差し掛かる頃に「誰のため」という課題が突きつけられる。皆が監督と映画の為に働いているという事、それに支えられ映画を作る。しかし監督は最後に自分のエゴ、つまり自分の為が全面に出る。さらに展開しそれはポンポさんの為でもあるという、苦悩の奥の奥をすんなり受け入れることができた。
ラストシーン、やはり最後のセリフは大事だと感じた。授賞式、プレゼンターの質問に対する回答は、こう答えるかと思ったものよりハマるセリフだった。
更にエンドロールの最後の制作会社ロゴもニヤっとさせられた。
この映画の面白さを引き立てたのは映画を作る裏側をソフトに表現した事だろうと思う。奔放に見えるポンポさんが予算やスポンサーの事で苦悩する。それでも監督の意向に沿いたい。タイトルからここが本筋では?と思うくらいよく出来た表現だと思う。
ジーンの映画作り、ポンポさんの映画作り、劇中映画Meisterの3本をまとめて観たような充実感がこの映画にはあった。まさかの今期最良作。多くの人に観てもらいたい映画です。
(パンフレットにキャスト、制作陣の好きな映画コーナーがあるのもイイ!)
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