映画大好きポンポさんのレビュー・感想・評価
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大事なのは90分の作品だということ
改めて自分は「物語を作る物語」が好きだと実感しました。「漫画漫画」みたいな。
主人公が経緯をモノローグで説明しがちなんですが、これは手抜きではなく、印象づけるアニメーションを全力で流しながら、アニメだからこそ許される表現を存分に魅せてくれます。
この映画の一番大事なポイントは、これは90分の作品だということ。90分に収めたエンターテインメントを作ったということ。
主演女優との恋愛要素があったかもしれないとか、フィルムの外での保管があってもいいのでしょう。
制作モノのお話ではたまに出てくる、時間制限という着眼点ですが、これまで深く入り込んで体現してる作品はないでしょう。(知らんけど)
まあそれほど細かく考えず観ても、シンプルに元気が出る言葉が散りばめられていて感動できるので、みんなが楽しめるエンタメとして花丸ですね。
映画をつくる映画、作品に自分を重ねる
絵柄やタイトルでナメてはいけない
Amazonレンタルで鑑賞。
事前情報をほとんど入れず観たので、「ハリウッド(劇中ではニャリウッド)が舞台で、この人たちは外国人だったんだ」とまずビックリ。
引退した祖父の人脈を受け継いだ映画プロデューサーポンポさんから出された“テスト”を知らないうちにクリアしていた主人公ジーンが監督デビューを作り上げるまでの物語。
映画を見たあとに原作を読むと、原作では撮影に物語の山場を持ってきているのに対し、映画版ではその後の編集作業をクライマックスに持ってきているのが面白かった。
劇中で描かれるリア充の描く物語は薄っぺらい(意訳)や、長尺映画の批判などは賛否が分かれるところだと思うけど、近年、3時間近い長尺な作品が持てはやされる風潮に辟易している部分もあるので、個人的にはポンポさんのスタンスや意見に大いに納得。
非リアで映画の奴隷になったジーンだからこそ映画の神に愛された=幸福な人間には創作の才能がない。ともとれる着地も、創作論、クリエイター論として正しい。(もちろん例外はある)
その上で、映画オリジナルのキャラクターで銀行員のアランを登場させることで、本作を創作に携わる一部の特殊な人間の物語から、全ての人間が抱える「働く(生きる)こととはどういうことか」という普遍的なテーマに(90分ピッタリで)着地させたのも見事だと思う。
絵柄やポップなタイトルでナメていたけど、その中身は驚くほど密度の高い作品になっている。おススメ。
家族で楽しめる快作
長尺でも良いじゃないかとは思うが
いい意味で期待を裏切られた
つくり手のこだわり
何かを創り出すことに携わったことがある人ならきっとグッとくるものがたくさんあるはず。
幸福は創造の敵だという、ポンポさんの台詞。幸せに育ってきて社会に対して何の不満もなく違和感なく過ごしてきた人は、自分の世界を持ってない。外に閉ざした自分の世界はどこまでも深い。その深さこそがつくり手の創造性を引き出す。
伝えたいことはなんなのか、誰なのか、自分の作品にするためにそこをぶらしては行けない。
1人ではできないからこそ、いろんな人の協力を経て創り上げる。だからこそ、適当になんか出来ない。
ふつうなんて言葉使うもんじゃない。
撮影して編集するというつくり手側のこだわりがこんなにもつくってるんだと、建築も同じなんだな。
何回でも観たいな。ジーンくんの成長物語でもあるけど、ポンポさんの視点で観たらたまらないんだろ〜な〜
2回目も鑑賞。
90分とは思えない作り込み。
自分の気持ちにわがままになれ。
その想いに人は動かされる。
誰に届けたい、誰に見せたい。その軸がぶれなければ、自ずと決断はできるはず。何かを残すことは、何かを切ること。決断の連続はものづくりの真髄かもね。
何故、映画を観るのか⁈
感想
人気の作品だったので観てみましたが、期待以上の傑作映画でした。
自分がなぜ映画を好きになったのかをキャラクターを通して投影できるある意味入子構造の様な気持ちになれました。
・物語
主人公ジーンがプロデューサーのポンポさんのアドバイスを受けつつ映画を作る事で自分を見出すという物語は少年漫画の様な熱い展開で興奮しました。商業映画を作るうえで向き合わなければいけない時間と予算の戦いという映画作品制作以外の視点が入っている点も良かったと思います。
後半の展開がフィクション要素かなり強めな展開になっていてその点は少し気になりましたが、全体としては90分弱という短い尺にまとまっていてあまり気になりませんでした。
また、 SHIROBAKO様に映画作りの裏側を少し観れたことも嬉しかったです。
本編中で拘っていた2時間越えの長編映画の弱点をこの作品そのものが証明するラストは痺れました。
・演出
お洒落な洋画を意識した特殊テロップの出し方、道路の背景に映す回想シーン、興奮した時の電撃の演出、劇中映像とキャラクターの考えのリンクなど視覚的に楽しい演出が多くて楽しめました。
・キャラクターデザイン
キャラクターデザインがワーキング、saoの足立慎吾なので期待通りの可愛いデザインで楽しめました。
・声優
メインキャラクターは俳優さんが演じられていましたが、違和感なく観れました。
総評
期待以上に楽しめた傑作映画。全映画好き必見の愛に溢れた物語は楽しかったです。
最後の一言の意味
おもしろくて面白くて、たのしくて楽しくて、涙が出るほど
この絵柄、宣伝だけを見て、この内容、この高まりを感じとれるだろうか、絶対無理だろう。
家族に聞くところでは、アニメで面白いと火がついて映画化されたとのことなので、知ってる人は知ってるのだろうが、少なくとも俺は、映画.com のレビューが無ければ、この映画と出会うことはなかっただろう。ありがとう、映画.com!
映画の一大拠点 "キャリウッド" で超有名プロデューサーだったお爺さんの人脈を引継ぎ映画製作に関わっているプロデューサーのポンポさん、その付き人をしている青年ジーン、オーディションに挑み続け落ち続けているナタリー、ポンポさんが作っているB級映画の常連女優ミスティアの4人で始まり、ポンポさんの脚本でナタリーを主演女優においた映画に名優マーティン・ブラドックを招いてジーンが監督として撮る映画の話。
「プロデューサーってなにやってる人?」という長年の疑問が氷解し、映画製作の面から映画の楽しさを味あわせてくれる。"あてがき" の意味もわかったし。力量じゃ残念ながら文字じゃ表現できないけど、冒頭に書いたとおり、90分間ずっと、おもしろくて面白くて、たのしくて楽しくて、涙が出るほどだったよ。いやあ、最高!!
そして、なにげなく登場してきたジーンの高校時代の同級生アラン。君、すごくいい味出してるよ! きみがいなくても十分面白い映画だったと思うけど、きみのおかげで絶対おもしろさ倍増してるよ! もちろんオスカーにきみの名はないけど、俺が勝手に助演賞をあげるよ!!
おまけ
へえ、制作会社のCLAPって「この世界の片隅で」を描いたチームが作った会社なんだね。今後も期待します!
ここからはネタバレになっちゃうけど、気に入ったセリフ書いて残しちゃお! まだ観ていない人は、これ以降は観てから読んでね。
・ 映画って、女優を魅力的に撮れれば、それで十分でしょ。
・ 大作で心を打つより、おバカ映画で感動させる方がかっこいいでしょ。
・ 一瞬のきらめきを逃さぬよう、絵の感覚を磨いておいた方がいい。
・ その人を見た瞬間に、物語が頭にあふれてくる時がある。
・ このシーンを撮るために、ここまできた。
・ 自分の直感を信じないで、何を頼りに映画を撮ればいいのよ?
・ さあ、現場での思いと編集者としての客観性がぶつかりあう段階だ。
・ 編集者は、初めての観客だからね。
・ なぜ映画を好きになったの? 君は映画の中に自分をみつけたんじゃないの?
・ 君の映画の中に、"君" はいるかい? それが見つかったら、君のアリア(独唱曲)を映画の中に入れればいい。
・ 僕が映画に救われたように、僕が映画を作ってみんなに届けたい。
・ この映画は、あの日の "僕" に向けた映画だ。
・ 夢をかなえようとしている人がいたら、それを手伝うのが銀行マンだ。
・ 生きることは "選択" の連続だ。ひとつを選んだら、他は切らなきゃいけない。
・ だから、切れ! ただひとつ残ったものを手放さないために、
以下は共感はしないが書いとくか
・ 幸福は、創造の敵。現実から逃げた人間は、心の中に自分の世界を作る。社会的不適合者だけが、自分の世界を作れるんだ。
原作を知らずに鑑賞したが、制作陣の一員に居るかのような感動を覚えた
前々から気になっていた作品だが、如何やら原作は漫画なようで…?
元々小規模で「長野に来るかー…?」と思っていたらまさかの近くの劇場に限定公開をしてくれたので急いで観に行った。
編集の裏側を見るということで、「業界用語とか多めの見難い作品かな?」と身構えていた。「映画の良さとは何か」「何が映画にとって大事か」など、本質的な部分を問いながら葛藤や苦悩を追い、「映画を作るとはどういうものか」など、一つ一つを人物たちが説明する有りがちな退屈ストーリーを序盤では危惧していた。
が、その掛け合いが全く持って飽きず、テンポ感がトントンと刻まれていたことや、ストーリの複雑さもなく仕上げられていた。見たことない未来の映像の後はストーリーが巻き戻り、そのシーンを見せてくれるので特に伏線などを考えずとも観ていられる。
また、人物たちの話す内容が一々素晴らしく、普段意識していないような部分を意識させるような作り方にも驚かされた。こればかりは映画を観ないと味わえないと思う。
是非とも機会がある内に観てほしい作品。映画館で観るからこその真価を出す作品。
ようこそ、夢と狂気の世界へ
何の情報もなければスルーしていたであろう作品。見た目で判断してはいけないとは正にこの事ですね。
タイトルにもなっているポンポさんは、映画プロデューサー。一見主役はポンポさんに見えるが、監督を目指すジーンと、女優を目指すナタリーのサクセスストーリーです。
見た目とは裏腹に、キャラクター1人1人が立っており、すんなり作品に入っていけました。
特にこの2人は、自分自身に自信を持てず、苦労してきた過去があるからこそ、頑張っている姿に応援したくなります。
映画作成という一見地味な作業の数々をテンポ良く、そしてノリ良く表現する事で、飽きることなく魅せてくれます。
企画、オーディション、撮影、編集、そしてマーケティングまで、想像以上に本格的な話ではあるものの、説明臭いところは一切なく、それでいて映画製作の大変さ、楽しさ、魅力が表現されていました。
少なくとも、映画好きな人には、間違いなくおすすめな作品ですね。
この作品を観ちゃうと、どんなに自分に合わない映画だろうと、軽々しく酷評なんてできなくなっちゃいます😅
本当に多くの人が関わり、1つの作品を作り上げているんだと改めて感じさせられました。
魂のこもったエンターテイメントが好きなら、一度でも感動したことがあるなら、確実に刺さる作品
大大大傑作。
監督は『魔女っこ姉妹のヨヨとネネ』の人、と言うとわかる人なら即飛びつくでしょう。
クリエイターの、常人とは違う狂気をポップかつエモーショナルに描いている。
この狂気は『セッション』のEDの興奮に近い。
前半からクライマックスまで名言の嵐。
ただのいちアシスタントだったジーンが監督に抜擢された理由が「いちばん目が死んでたから」なのが最高です。
「幸福は創作の敵」だと。目が死んでる側の人間が命を削ってモノを創るとどうなるか?興奮しかない!
映画の”編集”という地味な部分をクローズアップされているにも関わらず、素晴らしいストーリーと演出でエンターテイメントとして成立させているのが見事。
終盤はバトルモノのような興奮がありました。
挿入歌がかかるタイミングが絶妙で!涙で…スクリーンが……。
とにかく見るべき映画!
魂のこもったエンターテイメントが好きなら、一度でも感動したことがあるなら、確実に刺さる作品。
カメ止めのごとく、映画で語っているメッセージを作品そのものが体現している感動もある。ヤラレタ!と笑顔で膝を打っちゃう。見事。
格が違う文句無しの大傑作!
レビューを見て軒並み評価が高いのは知っていたので前々から観ようとは思っていたのだが、上映から3ヶ月弱経ち終了ギリギリのタイミングでようやく鑑賞することができた。
観た感想としては、非の打ち所が全くないくらい面白すぎる!!!……と小学生みたいな薄っぺらい感想になってしまったが、本当にここ数年観た映画の中で5本の指に入るくらいには面白かった。こんなに高評価されているのも納得のクオリティでひたすらスクリーンから目が離せなくなるくらい圧巻の映像体験をさせてもらった。まさにジェットコースターに乗っているかのような90分間だった。
ストーリーとしては「編集」にスポットを当てるというのが斬新で面白いと思った。やはり映画を観る上で注目しがちなのは演技や脚本だが、実は映画をひとつの作品としてまとめ上げるには編集という作業が如何に重要で難しいものかに気付かされた。
いつもなら鑑賞が遅れてしまったら長々とレビューを書いたりはしないのだが、語り始めたら指が止まらないくらいの大傑作なので少し長文になってしまった(笑)。帰宅したら思わず買ってしまったパンフレットにゆっくり目を通して、もっとポンポさんの世界の余韻に浸っていたいと思う。
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