「映画製作というフィルムを通したオタク・サブカル・クリエイター賛歌、あるいは鎮魂歌」映画大好きポンポさん おにさんさんの映画レビュー(感想・評価)
映画製作というフィルムを通したオタク・サブカル・クリエイター賛歌、あるいは鎮魂歌
端的に面白かった。情熱のある映画だった。
一部登場人物がコミュ障過ぎる表現で序盤不安にさせるが、最終的には問題なかった。
(ただしメイン女優役の声優のカタコト具合は流石にしんどかったが)
お話の随所に製作者の職業クリエイターを思わせるこだわりのフレーズが随所にあり、
セリフ回しの面白さ・深みに一役買っている。
主人公が選ばれた理由が、社会から追い詰められたオタクだから、というのが既にアニメーション(あるいは漫画)業界のクリエイターそのものなのではないかと思う。
そうやって追い詰められて作るものこそ真のクリエイティブだと、そういったお話なわけだが、
自分が社会から切り離されたように、映画を編集(カット)をする場面なんか、製作者の思いが詰まっているセリフなのではないかと思う。
クリエイティブの業界の周辺にいると、こういった人生の何かを切り捨てて仕事をやっているという人間は少なからずいるわけだが、特に夢とか希望もなく普通に生活しているサラリーマンからすると、この辺りの表現は全然ピンと来ないかもしれない。
自分の好きなものの為に、何かしらを犠牲にして挑戦している人にとっては、共感を得やすい内容なんじゃないかと思う。
そういった”何かを捨てた”人たち(職業としてだけではなく、割り切った趣味をやっている人たち)が、少し甘い夢を見ても良いじゃないっていう、そういう映画。
サブカル好きによるサブカル好きの為の映画。
本編最後の授賞式で、気に入ってる場面とかい本当にどうしようもない質問(少なくとも本編を最後まで見たら、72時間分の90分なわけだから全部気に入ってるに決まっているという愚問)に対して、
「90分なところですかね」というシニカルで職業クリエイターらしい答えをしているところがまた印象深くて良い。