「絵柄やタイトルでナメてはいけない」映画大好きポンポさん 青空ぷらすさんの映画レビュー(感想・評価)
絵柄やタイトルでナメてはいけない
Amazonレンタルで鑑賞。
事前情報をほとんど入れず観たので、「ハリウッド(劇中ではニャリウッド)が舞台で、この人たちは外国人だったんだ」とまずビックリ。
引退した祖父の人脈を受け継いだ映画プロデューサーポンポさんから出された“テスト”を知らないうちにクリアしていた主人公ジーンが監督デビューを作り上げるまでの物語。
映画を見たあとに原作を読むと、原作では撮影に物語の山場を持ってきているのに対し、映画版ではその後の編集作業をクライマックスに持ってきているのが面白かった。
劇中で描かれるリア充の描く物語は薄っぺらい(意訳)や、長尺映画の批判などは賛否が分かれるところだと思うけど、近年、3時間近い長尺な作品が持てはやされる風潮に辟易している部分もあるので、個人的にはポンポさんのスタンスや意見に大いに納得。
非リアで映画の奴隷になったジーンだからこそ映画の神に愛された=幸福な人間には創作の才能がない。ともとれる着地も、創作論、クリエイター論として正しい。(もちろん例外はある)
その上で、映画オリジナルのキャラクターで銀行員のアランを登場させることで、本作を創作に携わる一部の特殊な人間の物語から、全ての人間が抱える「働く(生きる)こととはどういうことか」という普遍的なテーマに(90分ピッタリで)着地させたのも見事だと思う。
絵柄やポップなタイトルでナメていたけど、その中身は驚くほど密度の高い作品になっている。おススメ。
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