「選択するとは捨てること」映画大好きポンポさん kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
選択するとは捨てること
映画.comで評価がやたらと高い映画って気になってしまう。それで観に行って心に突き刺さった映画もあれば、うんまぁ言いたいことはわかるって気持ちになった映画もある。本作も評価が高いから気になっていた映画。でも躊躇していた理由は、タイトルとポンポさんのキャラデザ。観に行こうという気持ちが湧き上がらなかった。
ところが!気になっていたタイトルとポンポさんのキャラデザさえクリアすれば、めっちゃ面白い映画なんだということに気づいた。
映画に魅せられ、のめり込み、誰かの心に何かを届けるためにこれまでの人生を過ごしてきたジーンの奮闘が描かれる。もちろん映画は一人で作るものでは無いから、いろんな人の意見や助けがあって映画が作り上げられていく過程が描かれるのもいい。
そして明るく充実した青春時代を過ごしてきたやつよりも、何かに没頭し別の何かを犠牲にしてきたヤツのほうが面白い映画が作れるんだって意見に心を揺さぶられる。「幸福は創作の敵だ」ってセリフは100%同意できるものではないが、なぜか共感してしまう。そして、何かを選択するってことは何かを捨てるってことだって内容のセリフが出てきたときには、あーなんて深いセリフなんだなんて思ってしまった。ポンポさんとジーンにめっちゃ心を揺さぶられてる!
ハリウッド(のような街)で映画を作る話だから、ジーンが書いていたノートや台本やセットに記されている文字がちゃんと英語だったりするところも実はすごい。最後のオチ(監督がこの映画の好きなシーンを聞かれて答えるアレ)も含めてとても素晴らしい映画だった。あー、なんでこんなタイトルとこんなキャラデザにしたんだよ!もっと違う層に受け入れられる内容なのに!地道に布教活動していくしかないじゃないか!