劇場公開日 2020年2月21日

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「普通は、そうか。」Red Miyuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0普通は、そうか。

2021年5月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

本能で生きることを選んだ女性のはなし。
「普通なら」不倫するにしてももっとずる賢くうまくやってのけるのかもしれない。でも塔子は、自分の理性を捨てることを選んだ。
この作品には3パターンの男性が出てくる。一般的な幸せを築くのにちょうどいい旦那・人生を賭けて恋愛する運命の人・温かい愛情をくれる上司
塔子ははじめ、ずるい女だった。職場の上司を利用してうまく不倫を始めようとした。その狡さと器用さは、徐々に精神を蝕んでいって、幸せのために必死に我慢していたことがどんどん我慢できなくなってくる。
伝えるべきだったこと、話し合うべきだったこと、それらを全部飲み込んで、結局目的の一般的な幸せとはかけ離れたところに堕ちてしまう。女性の恋愛にはこういうことが大なり小なり起こりがちなのでは無いだろうか。
初めて、行為中のシーンで泣いた。恋愛は運とタイミング、とはよく言ったものだ。好きな人同士が結ばれることは普通喜ばしいことなはずなのに。タイミングを一歩間違えただけで、塔子はとてつもない孤独に向かっていくことになる。この刹那的なセックスがどうしようもなく辛かった。
不倫肯定の作品、というより、女性にとっては自分自身の恋愛と重ね、ときに反省させられるような作品なのではないだろうか?
加えてとにかく音楽と役者の演技がいい。全体的にセリフは少ないが、目線や表情、カメラワークで伝えるべきことを伝えてくれる。無音のシーンが多いが、表情や自然音などで惹きつけられるのも非常に印象的。そして妻夫木聡さん演じる鞍田さんがとにかく魅力的。何もかもに諦めているような表情と時折見せる愛おしい表情に色気がすごい。そして女の危うさを明暗さまざまな表情で魅せる夏帆さんもとても魅力的。

Miyu