「GET WILDが流れたらオッケーならオッケー♪」シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション マツマルさんの映画レビュー(感想・評価)
GET WILDが流れたらオッケーならオッケー♪
アニメ放送30周年記念年で2月にアニメ劇場版があって、続けてフランスでの実写化の上映が気にはなってたので機会があったので鑑賞しました。
で、感想はと言うと、有りか無しかで言えば有りで個人的にはまぁまぁ。
キャッチコピーに“この手があったか!”と興味をそそられる文面があったので“どんな手だ?”とそれなりにハードルも期待も上がりますが、アニメの実写化作品は過大な期待は今までの経験値からしない方が良いのでw、軽く期待しつつでハードルを上げずに鑑賞してのまぁまぁです。
それでも、アニメや漫画原作を実写化した良い例には入るんではないかと思います。
作品としては何処か懐かしの「Mr.Boo!」を思わせる様なコメディタッチにフレンチギャグも織り混ぜた感じでジャッキー・チェン版の「シティーハンター」の香りがしそうでも踏み止まってますw
それでも暖かい目で言えば、とてもシティーハンター愛に溢れた作品でシティーハンターの定番の小道具やネタもツボもキッチリ押さえてます。
・空港内でのアナウンスで“内海様。来生様がお呼びです” ← キャッツアイ♪
・リョウのアパートの壁に飾られた絵「聖先頭セイヤ」 ← 聖闘士星矢
・ヒデユキ(槙村)の付けていた腕時計のTM ← TM NETWORKかな?
等の細かい所の作り込みなんかも作品愛に溢れてますし、作り手の好きが多分に感じられます。
勿論ツッコミ所も暖かい目で見たとしてもそれなり沸いてきますw
ストーリーはそんなに目新しく無いし、濃くもなく、どちらかと言うと薄目な感じ。
原作の初期では大掛かりな犯罪組織の「ユニオン・テオーペ」がどうにも小規模だし、槙村 = ヒデユキの死も突然過ぎるし、悲哀も殆ど無い。
香水をアイテムにしてるのは如何にもフランスらしいですが、その「キューピッドの香水」もバンバン使われてる割には全然減ってないし。
リョウ役のフィリップ・ラショーは主演と監督・脚本も担当してますが、好きが高じての製作は2007年に坂口拓さんが主演・監督・脚本を担当された「魁!!男塾」を彷彿とさせます。
自分の夢をどうしても叶えたかったんだろうなぁとしみじみと思えるんですが、ビジュアル的に冴羽獠に似てるかと言えば似てるし、似てないと言えば似てないw
似てないと思えてしまうと、どうも若き頃の草刈正雄さんとなだぎ武さんに足して二で割ったみたいに見えるですよね~w
また、服装もちゃんと冴羽獠でしたが、なんとなくコスプレチックにも感じるしw
海坊主 = ファルコンも似てると言えば似てるけど、なんか違う感もあるし。
海坊主の使い方が結構勿体無い。
もう少し上手い使い方をしてたら作品のクオリティも上がってたのかなと感じます。
かと思えばカオリ役のエロディ・フォンタンは結構似てますね~。
カオリを実写化するに当たってはハマリ役か!と思えるくらい。でも歳が少し食い過ぎな感じも…w
あと名前が凄いねw
サエコはなんか違う感じですw
スキッピーが大好きなジェシカ・フォックスはなんか叶姉妹の姉の恭子さんに見えるしw
ジェロム・レ・バンナが出演してるのにはビックリしました♪
アニメはキャラが小顔や目の大きさ、体格など極端にデフォルメされる所もあるのでどうしても実写の場合は無理が招じる部分もありますが、アニメの冴羽獠や海坊主は肩幅も広く、体格がかなり良いマッチョボディなんですが、それに寄せるのは些か無理があっても、それでも細いと違和感が感じたりしますね。
ストーリーは全編がギャグテイストがちょっと強い感じでハードボイルドテイストが薄いのも惜しいです。
ラスト前の銃撃戦なんかはかなり良かったんですが、シティーハンターはコメディとハードボイルドの加減が絶妙で、ハードボイルドに時折コメディなのに、この作品はコメディに時折ハードボイルドと加減のバランスが逆。
ここにオッケーかどうかで評価も変わってくるかと思います。
今作は吹き替えも重要なポイントでテレビで見るジャッキー・チェンの作品は吹き替えで見るのが楽しみと同じくらいに吹き替えに関しても気もなる所です。
シティーハンターと言えば、冴羽獠 = 神谷明さん。香 = 伊倉一恵さんは覆らないぐらいのイメージで、神谷明さんと伊倉一恵さんが担当していないだけで、正直大きなマイナスポイントになる所を山寺宏一さんと沢城みゆきさんが担当。
当代切っての実力派のお二人が担当している時点でオッケーかと思います。
冴羽獠は神谷明さんで、香役は伊倉一恵さんしか考えられないと言う方も多くにおられると思いますが、“じゃあ替わりは誰なら良いか?”となると山寺さんと沢城さんなら文句無しかと。
山寺さんのリョウは時折山寺節があったも問題は全然無しで見事に山寺版冴羽獠を確立されてるのはやっぱり凄いんですが、沢城さんのカオリ役は違和感無さ過ぎで、個人的には沢城みゆきさんのカオリがとても良かったです。
でも、神谷さんと伊倉さんの今作での吹き替えとしての使い方は贅沢と言えば贅沢で、正直無駄と言えば無駄な感じがしなくもないかなと感じます。
また、個人的に気になったのは、パンチョが可愛がっていたペットのハムスターが濡れていて寒そうだったから、電子レンジに入れて暖めたと言うギャグはギャグと言うより悪趣味でちょっと頂けないです。
その辺りがフレンチギャグと言えば、そうかも知れないけど、どうもズレてる感じがするんですよね。
そんな良い所もあっても、いろんなツッコミ所も違和感もあったりしますが、それでもエンディングで「GET WILD」が流れたら全部帳消しになりました!w
ラストでもこの曲を待っていた思いがあったので、流れた時には超胸熱!w
逆にこのポイントをハズさなかっただけでも評価出来ますw
シティーハンターはとにかくオープニング曲もエンディング曲も挿入歌も秀逸で、特にエンディングに掛かるまでのラスト前からエンディングのGET WILDのイントロに入る所からの描写に思い入れが強いので、ここを押さえているだけで“ナイス!オッケー!!”となってしまいますw
日本での吹き替え版だけの配慮かも知れませんが、リアルタイムで見てる世代にはシティーハンターでのGET WILD愛は強いだけにw、製作側がそこを汲み取ってくれたのは感謝です♪
ただそれでも、劇中歌で「FOOT STEP」の曲だけが使われていて、妙に浮いてる感じ。
他にベタでも洋楽が使われてるなら、FOOT STEPは要らなかったし、もしくは洋楽は使わずにそれこそシティーハンターの挿入歌で固めても良かったのではないかな?と思ったりします。
でも、それなら2月に公開されたアニメ劇場版の曲無駄遣いとおんなじになるのかな?
難しく所です。
海外で様々なジャパニメーション作品が実写化の企画、そして実現されますが作品愛の強い故に実写化をしていても、空回りする事も多々ありますし、文化の違いとアニメの実写化の難しさ故かと思います。
それでも製作側の好きが伝わると観る側だって嬉しくなる。
今作の製作側のシティーハンター愛は十分に伝わった事は間違いないです。
後は好みの問題だけw
B級感はあるし、大作系ではないけど、シティーハンターが好きで、記念年の今なら、それに乗っかるのもアリかと。
エンディングでGET WILDが掛かる胸熱を感じたいだけでも観る価値は有るかも知れませんw